軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い の感想

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タイトル軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い
発売日販売日未定
製作者松本 創
販売元東洋経済新報社
JANコード9784492223802
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 事件・犯罪 » 事件一般

購入者の感想

本書は、元神戸新聞のジャーナリストが、福知山線脱線事故を「取材者として客観的に、事故の全体像を俯瞰して描き出すというよりも、いわば彼(淺野弥三一氏)というフィルターを通して、事故に関するさまざまな動きと向き合ってきた」(”プロローグ”より)渾身のルポタージュである。
筆者は「鉄道マニアではない」と予防線を張っているが、ある程度鉄道に対しての知識がある人には、「えっ!?」という場面がしばしば出てくる。

◆p.96 JR羽越線事故への声明に対して、「あれはダウンバースト(突風)という自然現象が原因であり、鉄道設備や運行計画は関係ない」と訳知り顔のコメントが書き込まれ(後略)
えっ、概ねその通りですが…。

◆p.162 「(信楽高原鐵道事故は)SKRが運行管理責任を負うべき軌道上で発生した事故であり、わが社(JR西)は乗り入れ先に車両と運転士を貸していただけ」というのが、その主張だった。
えっ、だから、JR西側は、刑事裁判で不起訴*になっているのだが…(刑事については、本書は完全無視。確かに、JR側にも瑕疵はあるのだが。)

◆p.213 カーブに優先的にATSを付けるという考え方は当時の鉄道業界にはなく、報告書案の指摘は結果論に過ぎないと主張したのだった。
なかったものはなかったとしか言えない(それと、JR西の経営結果責任とは別である)。ATS(自動列車”停止”装置)は本来、列車追突防止の為に設置するものであり、新幹線などに設置されている、連続的に速度のコントロールを行うATC(自動列車”制御”装置)とは、根本的に違うものなのである。

別に、評者は鉄道専門家きどりで、本書の記述をあげつらいたいわけではない。そうではなく、これらのことが、本書で指摘されている〈組織風土〉〈企業体質〉の議論に、密接に関わっているからだ。本書で指摘されているJR西の数々の事故対応は、確かに非常に酷い。「非常に硬直した、官僚主義の、責任や誤りを決して認めず、絶対に譲歩しない」という指摘は、大きく的を外しているとは思わないが、何でもかんでもJR西の〈体質〉のせいにするように、評者には読めてしまう。

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