かくて行動経済学は生まれり (文春e-book) の感想

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参照データ

タイトルかくて行動経済学は生まれり (文春e-book)
発売日2017-07-14
製作者マイケル・ルイス
販売元文藝春秋
JANコード登録されていません
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 心理学 » 心理学入門

購入者の感想

多分、このタイトルだけでは、会社の部下は誰も読まないだろう。行動経済学に興味を持つ私ですら、幾つかの書評を読まなければ、読むことはなかったかもしれない。しかし、「マネーボール」を知っている人なら、タイトルにかかわらず、必ず読むことも確かである。
私は、逆に、マイケル・ルイスの作品を遡らなければ、ならなくなった。
Post-Truth時代に、Fake作品や思考停止情報に浸されている毎日で、珠玉のドキュメンタリー作家を再発見することが出来たことは、今年最高の喜びである。しかし、この作品の格調は、勧める相手を選ぶ。心理学者同士の心の葛藤を理解することと、共に軍人をして、実戦に関わったことなどは、平和ボケの読み手の想像力に挑戦する試みであり、果たして受け入れられるか心配である。
しかし、全ての友人に一読を勧めたい作品であることは、間違いない。

不思議な本である。原題は『The Undoing Project』~A Friendship that Changed Our Minds~とあり、人間の心理に対する見方を変えた二人の天才科学者の友情と葛藤という副題が内容を正確に表現している。
本書の「出発点」は筆者の著名作である『マネー・ボール』に対して行動経済学者が批判的な書評を書いたことがきっかけとなっており、そこから二人の天才心理学者に焦点を合わせた物語につながっている。

心理学という学問が如何に行動経済学につながったのか、イスラエルの大学に初めて心理学を学ぶ学科が設置された前後の背景や二人の天才科学者の出会い、各々の生い立ち、二人が如何に共同研究を続け、成果を上げる一方で、個々人に対する評価のギャップとそれが生み出す不協和音と別れ。
人間の脳や心理の仕組みは必ずしも我々が思っているように動いているものでもなく、まだまだ知らない世界があり、それらは政治的に利用される可能性がある、ということも想起させる、様々な要素が詰まった一冊である。

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