世界の歴史 (23) アメリカ合衆国の膨張 (中公文庫) の感想
参照データ
タイトル | 世界の歴史 (23) アメリカ合衆国の膨張 (中公文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 紀平 英作 |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784122050679 |
カテゴリ | ジャンル別 » 歴史・地理 » 世界史 » アメリカ史 |
購入者の感想
本書は一九世紀から二十世紀初頭までのアメリカ史を、正史と文化史に分けて執筆されている。単行本版の図版はカラー印刷されている関係で、本文の解説が直截理解しやすい。二〇〇八年十月に刊行された文庫本版は、口絵プレート以外は白黒で、大きさも小さいので本文との関係が判りにくいこともある。執筆は、政治史・外交史を中心にした紀平氏と文化史を中心にした亀井俊介氏の共著である。編集が力を発揮しており、文章の流れやリズムが、第1部と2部との繋がりを意識させずに読みやすい。
本書のように、世界史の一部として執筆された主として一九世紀アメリカ史とはいえ、鉄道の発達によって世界で最初の電話や電信による情報化社会を経験したアメリカの覚醒を描き、このインフラが政治や社会を変えて行き、中央政府や州政府においても、専門職(大学院出身者)がアメリカの行政能力を向上させ、それが二十世紀アメリカ社会の骨格を形成していった過程が描き出される。つまり正史を支える社会的な伏流水の流れをも精確に描き出して、アメリカ史に働くメカニズムを判り易く描いており、実に刺激的なアメリカ史である。歴史のダイナミズムを感じさせる描写手法は、亀井氏の文化史でも同様である。亀井氏には多くの文学・文化にまつわる研究書が多数あり、その精緻な読解には定評があり、物足りない方は氏の著作で補強されればよかろう。
多巻ものの世界通史の一部として執筆された一九世紀アメリカ史である本書には、二十世紀アメリカを準備した前史のダイナミズムが精確に描き出されている。
本書のように、世界史の一部として執筆された主として一九世紀アメリカ史とはいえ、鉄道の発達によって世界で最初の電話や電信による情報化社会を経験したアメリカの覚醒を描き、このインフラが政治や社会を変えて行き、中央政府や州政府においても、専門職(大学院出身者)がアメリカの行政能力を向上させ、それが二十世紀アメリカ社会の骨格を形成していった過程が描き出される。つまり正史を支える社会的な伏流水の流れをも精確に描き出して、アメリカ史に働くメカニズムを判り易く描いており、実に刺激的なアメリカ史である。歴史のダイナミズムを感じさせる描写手法は、亀井氏の文化史でも同様である。亀井氏には多くの文学・文化にまつわる研究書が多数あり、その精緻な読解には定評があり、物足りない方は氏の著作で補強されればよかろう。
多巻ものの世界通史の一部として執筆された一九世紀アメリカ史である本書には、二十世紀アメリカを準備した前史のダイナミズムが精確に描き出されている。