古本屋五十年 (ちくま文庫) の感想

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タイトル古本屋五十年 (ちくま文庫)
発売日販売日未定
製作者青木 正美
販売元筑摩書房
JANコード9784480039699
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

昭和28(1953)年、20歳で東京の下町に古本屋を開業した著者による、古本屋業回顧譚。
戦後復興期からの古本市場の風景、売れ筋雑誌の変遷、さまざまなブーム(初版本・貸本屋・マンガ…)、古書展の話など、当時の古本屋事情をいきいきと描きつつ、売上のために疾風のごとく駆け抜けた日々を振り返ります。
この本が単なる 「下町古本屋・古本市場等の当時の記録」 に終わっていないのは、おそらく著者の日記(著者は幼少の頃より膨大な量の日記を書き留めているらしい)から紡ぎ出される 「人間ドラマ」 がそこかしこに挿入されているからでしょう。開業以来10年以上にわたってライバルであった人物への焦燥、あこがれの人、共に下町の古書店を活性させようと取り組んだ仲間…。
ときに怒り、葛藤し、苦悩して切り盛りした一古書店が、目に浮かびます。
また、著者が蒐集している 「文筆家の肉筆物」 に関する論、これからの古本屋の行く末への提言など、古本屋業を50年続けてきた著者の意見はピリリと利きます。
記録・物語・意見と、3拍子そろった古本屋本。おすすめです。

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