混乱の本質 叛逆するリアル 民主主義・移民・宗教・債務危機 (プロジェクトシンジケート叢書) の感想

16人の論客が世界情勢や国際政治経済について真摯なオピニオンを展開したもの。
意見を寄せている人々ははいずれも特級（なのだと思う）。

発表時期はおよそ2011年末〜2012年初。出版は8月。評者が読んだのが明けた
13年1月。読んだのが13年になった点は、ひとえに読者である評者の責任だが、
特級である人物が発信する特級であるはずの意見が古びるのは存外早いものだ
というのが偽らざる感想。

すなわち、翻訳まで待つ間に時間は経ち、読者の目に触れるまでに現実が
どんどん動いてしまう。やはり原語（せめて英語）で読む覚悟が必要な
ジャンルだという点を考えると難しさを感ぜざるを得ない。現に無料の邦語訳
サイトのどれよりも古いものである。この手の情報を最も求める人は、既に
原語サイトを見に行っているはずである。ここに構造的な難しさがあると
言わざるを得ないのは残念。

ただし、翻訳はこの手の分野の中では間違いなく特級。実に読みやすい。