世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか? の感想

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なかなかおもしろかったです。
おそらく、日々海外との取引で血の汗を流しておられる方たちからすれば、『わかりきったことばかり』ということになるかもしれません。
でも、多くの中小企業の方たちからすれば、『この視点は自分たちには抜け落ちていた』と思えるようなことが、この本の中に見つかるんじゃないかと思います。
読んで損はない本だったな、と思います。

　大企業は資金調達面、人材では有利だが、必ずしもそれだけではない。本書の中で、日本では規模を大きくすることを目標としる考えが強いが、ヨーロッパの会社には少数精鋭でもエッジの効いたことを手掛けようという企業文化がある、という実業家の言葉が紹介されている。
　新興企業、ベンチャーはまたかつては人材を集めるのに苦労したと思うが、本書に登場する新しいタイプの企業(企業というより同志、カンパニー=仲間のような会社)には、高学歴で大企業を辞めてきたような若者が集まってくる。

　本書はイタリア在住で、ヨーロッパの企業に詳しい著者が先進国の新興・ベンチャー企業にインタヴューした結果をまとめたもの。「中小企業」と言っても、例えば下請け製造業というよりは、高価格のアパレル(ブルネッロ・クチネッリ)や、IT、自然エネルギーなどが目につく。そういう意味では伝統的産業に従事する人が参考にする部分は少ないかもしれない。

　小さくても光る企業になるためには、やはりビジョン(自社だけでなく世界や地域に貢献、成長する)がしっかりとしていて、ビジョンに魅かれて優秀な人材をスカウトできることが重要であることが、やはり共通している。またかつては新興の会社はカリスマ的リーダー(新製品発明者やデザイナー、猛烈営業社長など)が社員を鼓舞して・・・という会社が多かった気がするが、本書に登場する会社にはまるでNPOのように淡々とした、しかし社員全員の方向性が合ってそうな会社が出てきた。

　世界という割に著者が住むイタリアを中心とした話が多かったり、会社の業種が偏っている気もするが、インタヴューを断る会社もあったようなので、それは仕方がない事だろう。欲を言えばもう少し数を絞ってでもひとつひとつの会社の成功戦略を詳しく分析してもらいたかった気がするが、類書がないので貴重な本ではある。

海外ビジネスについて正解を教えてほしいという人が多いと思うが、そういう人ははなからこの本は読まない方がよい。
わたしは、著者の本を３冊とも読んだが、いつも新たな気づきを得るし、自分の仮説構築の考え方に影響を与えられる。
グローバル、イノベーション、マーケティング、マネジメントなどに関してだって、毎日どこかで読んだことのあるような
日本語の記事が氾濫している時代。
誰も正解を示せない中で、本人なりに、今より前に進むための世界観や仕事の羅針盤を持ちたい人はぜひこの本を
読んで考え込んでほしいと思う。
実際、わたしもそうしました。

自分の頭で考えて、行動にうつすことが好きな方には著者のモノを見る目がきっと参考になると思います。

私自身、外国人向けのニッチなビジネスをしていることもあり、この本には興味があり購入しました。目の付け所は悪くはないと思いますが、インタビューした内容をそのまま書いた感じの部分もあり、若干読みにくく、熱いものを感じる本ではありませんでした。。人により、感じる部分はあるのでしょうが、もう少し分かりやすくまとめてもらえると、良かったかなと思います。ちょっと残念な本でした。

ミラノ在住のビジネスプランナーの方が書いている、一風変わった本です。
内容は、世界の先進国を中心に、それぞれの国で伸びている20社ほどの元気な企業が、
どこに目をつけて商売をしているのかを紹介したもの。

昨今の日本でもてはやされている「日本の中小企業はすごい！」論の多くは、「小さいのに、それにしては頑張っている」
といったような裏のメッセージを感じます。
（僕が中小企業勤務だから、穿った見方をしているのでしょうか…（笑））

一方、この本で扱われている中小企業の多くは、そうした「大きい小さい」の話を全く感じさせません。
普通、「中小企業」「中小企業」と言われていると、どうしても夢が現実的にしぼみがちですが、
この20社が持っている「世界に自社がどう影響していくのか」というビジョンの壮大なスケールには驚嘆させられます。

カルチャーショックを体験できる一冊です！