頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法 の感想

常日頃かなり尖ったコメントを行っている著者にしては、少し意外感のある内容。目的達成のためには、アホな人と戦っていてはダメ。そのためにも、アホと戦ってしまう原因になる変な正義感・自信・責任感・プライド・おせっかいなどは、捨ててしまえとする。自分がやりたいことの優先順位がはっきりしているのであれば、やりたいことの実現のために、アホと戦うよりは利用してしまえということになる。桁外れに才能豊かな人間でない限り、アホと戦って傷ついたり、タイムロスをしていれば、とても自分が主人公となる人生は過ごすことはできない。うまく世の中を渡っていくための孫子流の人生訓である。著者自身、今の境遇に満足していると言っており、参考になる。

尤も、政治家として、勝ち組に乗っていくというスタンスは如何なものであろうか。特に、日本の人口減少に大きな懸念を感じていながら（P218）、自民党にいたときは特に有効な政策を打ち出してこなかったのではないか。広く日本人としてみても、こんな小市民的な生き方が称賛されていて良いのだろうかという疑問を感じる。結局は著者もふつうの「保守」の政治家だったということか。