風の盆恋歌 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 風の盆恋歌 (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 高橋 治 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101039114 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » た行の著者 |
購入者の感想
こういう素晴らしい小説を今まで知らなかったことを恥じた。構成も表現力も絶賛に値する。巻末の加藤登紀子氏の賛辞は秀逸な「カスタマーレビュー」になっている。富山県八尾町の「おわら風の盆」を訪れたことがない人もこの本で祭に参加でき、一度でも見た人は感慨を新たにする。それほど祭の特異な魅力を描ききっている。毎年の祭の日々に限って数年間にわたって展開する「酔芙蓉」の花に例えられる恋の物語は、倫理的には容易に馴染めない中年の破滅への不倫ではあるが、日常から隔離された「おわら風の盆」の祭を舞台とする限り、学生時代以来の秘められた恋を爆発させたそのひたむきな愛は共感を呼び、祭そのものであるとすら思えてくる。