ニュルンベルク裁判 (中公新書) の感想

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参照データ

タイトルニュルンベルク裁判 (中公新書)
発売日販売日未定
製作者アンネッテ・ヴァインケ
販売元中央公論新社
JANコード9784121023131
カテゴリ歴史・地理 » 世界史 » ヨーロッパ史 » ヨーロッパ史一般

購入者の感想

第二次世界大戦におけるナチス・ドイツの戦争犯罪を裁いたいわゆるニュルンベルク裁判について解説した本。著者はドイツの研究者。

本書の特徴として、3点あげておきたい。まず第一に、ニュルンベルク裁判だけでなく、その後に行われた12の継続裁判についても扱っていることである。第二に、その後のドイツ国内での恩赦を求める活動や政治やキリスト教団体を巻き込んだ政治文化における変化の影響及び東西に分かれたドイツと東西冷戦との関連ついても触れていることである。第三に、分量的にはわずかではあるが東京裁判や、世界人権宣言および冷戦後のハーグ国際刑事裁判所の始動への流れについても触れている点である。

ドイツの降伏は日本よりも早かったから、当初はどのように罰するかということすら決まっていなかった。実際、連合国側には、チャーチルやスターリンをはじめとして、連合国の軍人たちが即決で処罰すればいいという主張もかなりあったようだ。つまり、連合軍側が行ったことの罪は一切問わずに敗戦国の関係者のみが裁かれるという本質的な矛盾と不公正さを内包した裁判であるものの、これでも、様々な思惑や調整の末に、「平和に対する罪」「戦争犯罪」「人道に対する罪」を明文化した国際軍事裁判所憲章の合意になんとかこぎつけ、まがりなりにも法治的な体裁を一応は整えた結果であることがわかる。

多くの問題があった裁判でもあった。戦争前の残虐行為の追及が共同謀議の対象から外れたし、ホロコーストの未曽有の被害の全容についての認識が十分ではなかったし、被告たちの言い逃れによって実はヒトラーの命令ではなかった虐殺までヒトラーのせいだという史実になってしまったりした。軍事法廷に続く12の裁判では、医師、法律家、企業家なども対象になる。一方、恩赦を求める活動も一定の成果を挙げたようだ。

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