出版社社長兼編集者兼作家の 購書術: 本には買い方があった! (小学館新書) の感想

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参照データ

タイトル出版社社長兼編集者兼作家の 購書術: 本には買い方があった! (小学館新書)
発売日販売日未定
製作者中川 右介
販売元小学館
JANコード9784098252374
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 本・図書館 » 書店・古書店

購入者の感想

 著者は1960年生まれで、書籍の編集・出版を生業としてきた人物。出版社経営者のほかにも、歌舞伎やクラシック音楽、映画といった分野の著作もあるということです。
 そんな著者が自らの書籍購読歴を披露しながら、本を買うための知恵と工夫を紹介するという趣向の書です。

 その知恵と工夫の一端は以下のようなものです。
 人気作家のベストセラー本は大型書店で。
 商店街にある<町の小さな本屋さん>では買い忘れがないように雑誌や全集、シリーズものを。特にパートワーク(分冊百科)とよばれる形態の書籍でCDつきのものはコンビニで売らないという暗黙のルールがあるので近所の書店に注文するのがよい。
 応援したいと思う作家の新刊はすぐに買うべし。新刊が多く売れる作家には出版元が次回作を書かせようという気になるから。
 紀伊國屋書店や丸善・ジュンク堂のサイトは、書店の在庫状況も検索できるので、出向いていく手間を惜しまなければアマゾンに注文して郵送を待つよりも早く本が手に入る。

 こうした購書術のひとつひとつに頷かされながら読むと同時に、出版界の興味深い裏事情にも目を魅かれました。
 大手版元は書を売る力があるから5000部以上を作るのではない。書を作るために関わる大勢の人々の経費を賄うために5000部以上作るという前提の企画しか通らないだけ。その一方で零細版元は所帯が小さいので2000部程度でも採算が取れる。つまり世の中に大手版元しかないと、2000部程度の需要しかない本は作られなくなってしまう。
 また大手版元ほど駅前の大型書店だけではなく、商店街にある<町の小さな本屋さん>の存続を期待している。小規模店がなければ多くの部数を全国津々浦々まで届けることができない。
 印税とは売れた部数に応じて支払われるのではなく、印刷・製本された部数に応じて支払われる「発行印税」である。その一方、電子書籍の場合は「実売印税」制度が取られている。

昨年9月まで顧問をしていた企業で、月1回、研修講師を務めています。これまで、「イキイキ・ワクワク仕事術」「逆境脱出術」「スケジュール管理術」「段取り術」を講義し、次回の「情報管理術」の準備に取りかかったところです。このテーマに関し、受講者はどういう悩みを抱えているのか、どういうアドヴァイスができるか、どういう内容をどういう順番で盛り込むかなど、構想や段取りを練るのは、なかなか楽しいものです。散策しながらあれこれ考えていたら、歩数計が11,037歩を指していました。

閑話休題、世に読書術の類いは多いのですが、本を買う方法を指南する書籍には滅多に出会えません。『購書術――本には買い方があった!』(中川右介著、小学館新書)には、本の上手な購入法が記されています。小出版社経営者、編集者、作家としての経験を踏まえて書かれているので、説得力があります。そして、出版業界の興味深い裏話も盛りだくさんです。

「(新刊の本が)『売れた』『売れない』は、発売から数週間で決まってしまう。だから、好きな作家がいて、その人の本をもっと読みたいのであれば、発売されたらすぐに買うことだ。そして初速(発売直後の売れ行き)をよくして、版元にも書店にも『売れている』という実感を抱いてもらう。それが、読者にできる最大にして最良の『作家を育てる方法』だ。作家だけではない。出版社を育てる、あるいは支援するのも同じことだ。自分に合った本を出している出版社があるならば、そして、その版元が小さければ小さいほど、そこが出す本は発売直後に買うようにしてあげたい。発売直後に買う1冊は、発売から3カ月後に買うのよりも、著者や版元にとっては、重みが違うのだ」。本書は、散策の途中で、発売初日に紀伊國屋書店おおたかの森店で購入したので、著者に喜んでもらえそうです(笑)。

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