誰か助けて 止まらない児童虐待 (リーダーズノート新書) の感想

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参照データ

タイトル誰か助けて 止まらない児童虐待 (リーダーズノート新書)
発売日販売日未定
製作者石川結貴
販売元リーダーズノート
JANコード9784903722306
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

虐待を受けた子どもは、親になった時、その子どもに虐待をしてしまう。そんな偏見は確かにある。
一面の事実だが、すべてではない。虐待を受けても、立派に子供を育てている人の方が事実多いのだ。
本書の中で、シングルマザーで悪い男につかまり、子どもをひどく虐待し、死に至らしめる例が出てくる。
彼女は、どこにでもいる普通に愛されて育った人間だ。そう考えれば、別の本の被虐待児専門医師が言ってた言葉が正しい。
「虐待された子供がそこにいる、というところから入って行かないといけない」。
虐待をする親を理解できない人々は、因果関係や理由を探して安心したい。
そこにすっぽり嵌るのが、昔虐待を受けたという物語との因果関係だ。しかし、事実そんなものがない場合も多い。

保育園、学校、児童相談所などなど様々な機関の苦悩が色濃い。
それもそのはず、親という絶対権力者の前では、どれだけ異変を察知しても、他人は無力なのだ。そんな例が沢山出てくる。
子供にとって、親は生殺与奪の権利を与えられた強大な神である。その狂った神の意識を変えさせるのは現実問題、難しい…。
子供が虐待により亡くなった時、行政機関は責められる。
しかし、果たして怠慢なのかどうか、これを読むとその難しさがわかって一様に責められなくなる。

 児童虐待の痛ましい事件が起きるたびに、なぜ周りの大人は止めることが出来なかったのかという疑問が呈される。しかし、保育園や幼稚園や学校、児童相談所、警察、それぞれに立場があり、虐待を止めることが難しいことが、本書で書かれている。

 児童相談所の児童福祉司が担当するケースは170件。アメリカの12件や韓国の18件と比べれば、突出した担当数が分かる。「住居不可侵」の規定もあって、通報があれば即介入というわけにはいかないのだ。

 

過去に大阪で若い母親が育児を放棄し、2人の幼い子がなくなったという事件がありました。「母親に原因あり」、という単純な構図が押し当てられていたように感じ、違和感を覚えたため、こちらの本を購入しました。

著者は、過去に虐待をしたことのある母親、児童相談所、無認可保育園、学校、保育園へのインタビューを通して、この問題が大手がマスコミが面白おかしく騒ぎ立てる「誰か犯人を見つける」ことでは決して解決することはないことを私達に伝えくれます。
 例えば一般にいわれるような、「虐待を受けた母親は虐待をする率が高い」といった根も葉もない情報が、虐待の過去を持つが懸命に子育てをする母親を傷つけています。さらに、虐待があった場合、虐待をした当事者以外に槍玉に上げられる児童相談所・保育園の方々が決して静観していたわけではなく「権限がなく人員が限られた中でどのように虐待された子供を救うか」と苦心している様子が垣間見れました。また、最後には過酷な虐待から生き抜いた子供達の現状の記載がありますので、児童虐待の問題を知ろうとする方にはぜひ読んでいただきたいです。

P233には、この問題の日本の現状が記載されています。そのまま抜粋します。「2009年の厚生労働省の調べでは、家庭で生活できない子供は全国に約四万八千人。このうち、児童養護施設に三万一五九三人、里親に委託されているのが三六一一人、乳児院に三二九九人、児童自立支援施設に一九九五人、情緒障害児短期治療施設に一一〇四人、母子生活支援施設に六五五二人が暮らす。」

中途半端に手を出せる問題ではないとは思い出しますが、もっとお互いに関心を持つという当たり前のことが、上記の数を減らすために必要なことではないかと思いました。著者は丁寧な取材を重ねて、事実を伝えてくれています。キャッチーなタイトルが唯一残念ですが、子供がいる方・学校の先生・子供に関係する方はぜひご覧下さい。こういった子、親を助けられるのは回りの人・大人が関心を持つことが第一歩だと私は思いました。

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