日本型排外主義―在特会・外国人参政権・東アジア地政学― の感想
参照データ
タイトル | 日本型排外主義―在特会・外国人参政権・東アジア地政学― |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 樋口 直人 |
販売元 | 名古屋大学出版会 |
JANコード | 9784815807634 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門 |
購入者の感想
社会運動論の手法を駆使し、「在特会」の特徴を客観的に浮かび上がらせることを試みた著作。
学術書であるが、門外漢でも充分理解できように配慮されている。(価格は「一般人お断り」と言っているが)
著者の樋口氏は、「在特会」=“しんどそうな人々”による憂さ晴らし、という経験主義的印象論を退け、そのイデオロギー的側面に着目する。そして、「在特会」が、90年代から目立つようになった歴史修正主義の系譜に連なっていることをインタビュー調査などを基に明らかにしている。他にも、新聞・雑誌などの紙媒体の保守論壇の主張との共通点と相違点、欧米の極右との違いなど、様々な視点から説得的に論証している。広い視野の中で日本の排外主義運動を論じており、新たな認識を得ることが出来る。
一方で、インタビュー対象者が「在特会」幹部を中心にした30数名に限られているからだと思うが、なせ不特定多数の人々が「在特会」に引き寄せられてしまうのか、といった社会心理面のことが疑問として残った。「在特会」のイデオロギーに共感する事と、憎悪を剥き出しにして街中で罵詈雑言を張り上げるスタイルに引き寄せられる事は、まったく別だとは言わないが、後者に関しては別の分析方法が必要なのではないだろうか。
なお、「あとがき」などをから樋口氏自身は、排外主義の台頭に強い危機感を抱いているし、極右の主張の荒唐無稽さに呆れてもいると思われるが、本書の記述は、そうした政治的評価や感情に引きずられる事なく、研究者として正確性・客観性を追求して書かれている。それだけに確かな内容になっていると思う。
学術書であるが、門外漢でも充分理解できように配慮されている。(価格は「一般人お断り」と言っているが)
著者の樋口氏は、「在特会」=“しんどそうな人々”による憂さ晴らし、という経験主義的印象論を退け、そのイデオロギー的側面に着目する。そして、「在特会」が、90年代から目立つようになった歴史修正主義の系譜に連なっていることをインタビュー調査などを基に明らかにしている。他にも、新聞・雑誌などの紙媒体の保守論壇の主張との共通点と相違点、欧米の極右との違いなど、様々な視点から説得的に論証している。広い視野の中で日本の排外主義運動を論じており、新たな認識を得ることが出来る。
一方で、インタビュー対象者が「在特会」幹部を中心にした30数名に限られているからだと思うが、なせ不特定多数の人々が「在特会」に引き寄せられてしまうのか、といった社会心理面のことが疑問として残った。「在特会」のイデオロギーに共感する事と、憎悪を剥き出しにして街中で罵詈雑言を張り上げるスタイルに引き寄せられる事は、まったく別だとは言わないが、後者に関しては別の分析方法が必要なのではないだろうか。
なお、「あとがき」などをから樋口氏自身は、排外主義の台頭に強い危機感を抱いているし、極右の主張の荒唐無稽さに呆れてもいると思われるが、本書の記述は、そうした政治的評価や感情に引きずられる事なく、研究者として正確性・客観性を追求して書かれている。それだけに確かな内容になっていると思う。