沖縄問題の起源―戦後日米関係における沖縄1945‐1952 の感想

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参照データ

タイトル沖縄問題の起源―戦後日米関係における沖縄1945‐1952
発売日販売日未定
製作者ロバート・D. エルドリッヂ
販売元名古屋大学出版会
JANコード9784815804596
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 国際政治情勢

購入者の感想

最近、若泉敬がブームになっている。
伝記が出版されたり、昨年「NHKスペシャル」でも取り上げられたりで、
それに伴って政治問題としての「沖縄」が再注目されている。

どうして日本人は沖縄に関心を払って来なかったのか。
否、一部の者たちは沖縄にこだわり続けてはきたけれども、どれも一方的な主張であった。
往々にして沖縄研究をする人は、沖縄出身者ばかりであり、
したがって、左翼的な結論に至るのが決まった落ちであった。
そして、それに抵抗し得る有力な論者は現れなかった。

その意味で、本書は画期的である。
著者のエルドリッヂ氏は、終戦間際からサンフランシスコ講和が締結される間を主として、
様々な一次史料や関係者へのインタビューを用い、日米の政策決定過程を丹念に調べ上げた。
先に結論ありきでなされた、これまでの研究とは明らかに違う。

これまでの左翼的研究は、日本政府が安保体制と引き換えに沖縄を切り離したと批判し続けてきた。
しかし、本書を読む限り、それは誤りであったと言える。
昭和天皇を含め吉田茂を始めとした日本政府が「潜在主権」に執拗に拘った結果、アメリカ側の妥協を誘った。
一見それは小さく見えがちであるけれども、実は外交的成果として多大な効力を持っているのである。

こうした冷静な実証研究は、すでに河野康子氏が『沖縄返還をめぐる政治と外交』(1994)で行っているが、
エルドリッヂ氏が成した今回の仕事は、それをさらに補強して余りあるものである。
今や、日米双方から同様な結論が出された所が興味深い。

読了して、沖縄が北方領土とどうリンクされていたのか知りたくなった。
米ソ間の思惑を絡めた日本の領土問題は、まだ解明されていない。

ところで、こんな分厚い専門書、研究者でないと誰も読まないし読めない。
是非、エルドリッヂ氏には、一般向けに新書サイズの本を書いて欲しい。

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