アインシュタイン丸かじり―新書で入門 (新潮新書) の感想

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参照データ

タイトルアインシュタイン丸かじり―新書で入門 (新潮新書)
発売日販売日未定
製作者志村 史夫
販売元新潮社
JANコード9784106102073
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 物理学 » 一般

購入者の感想

 皆さんのレビューを見て、Kindle版の本書を買いました。
 アインシュタインというと、やっぱり、どんな本も気になりますねぇ。
 日本を訪問した時の記録も、講談社から出ていましたが、おもしろい内容でした。
 そして、皆さんがさらに深く知りたいと思われたら、HULUのサイエンスドキュメンタリー「宇宙ー時空超越の旅」の第3話「量子力学で見る『現実』」をおすすめします。
 これは、物理学の最先端をわかりやすく解説した特番。
 アインシュタインは量子力学が大嫌いで、ニールス・ボーアに論争を挑んだことが、CGを活用しておもしろく描かれています。
 量子力学から導かれた奇妙な事実を、アインシュタインは量子力学の欠陥だと指摘しました。
 それは「エンタングルメント」と呼ばれる量子の奇妙な振る舞い。
 たとえば、Aの電子とBの電子を関係づける(エンタングルメントさせる)と、Aの電子の振る舞いとBの電子の振る舞いが「必ず同期する」という現象です。
 仮に、Aが、赤と青の2色が交互に並んだ回転盤(ルーレット盤のイメージ)の上で赤に止まれば、Bは必ず青に止まる。
 この現象は量子力学で予測され、しかも観測されました。
 しかし、説明がつかない。
 量子力学の学者は「私たちに聞かないでください。なぜなら説明できないからです」と正直に認めています。
 アインシュタインがいちゃもんをつけた理由は、情報は光より早く伝わらないという理由からでした。
 「神はサイコロを振らない」と言った。
 これに対して、ボーアは、「神がすることに注文をつけるべきではない」と反論しました。
 長年の大論争に決着がついたのは、実験での観測結果から。
 CGをふんだんに使った、たいへんおもしろい内容です。

 でも、おかしいですよね、量子力学の学者が「私たちに聞かないでください。なぜなら説明できないからです」と正直に答えているのですから。

本書のキーは、アインシュタインが1905年(俗に言う「奇跡の年」)に発表した一連の論文だ。そして、現役の物理学者である著者が、それらキーとなる論文を紹介しつつ、アインシュタインの理論を順を追って解説していくというのが本書のスタイル。文章は平坦でわかりやすく、全編を通してブログのようなややくだけた文体で一貫している。

ちなみに本書は、1905年発表の論文すべてを仔細に検討しているわけではなく、全部で5つある論文のうち、「光の粒子説」「特殊相対性理論」「質量とエネルギー」に関する3つの論文に的は絞られている。そのなかでもキモとなるのは、言うまでもなく「特殊相対性理論」。光の特性を軸に、アインシュタインによって相対化を余儀なくされた時間と空間の本質を暴いていくのだ。読解に要求されるレベルは科学雑誌「ニュートン」と同程度で、よっぽど理科嫌いでもない限り、とりあえず最後までは読めるだろう。少なくとも、著者も言うように、わかった気にはなれるはずだ。

一方。筆者はときおり本題から離れ、アインシュタインに関するちょっとしたエピソードを披露したりもする。本題についていくのが難しい人のための、ほっと一息、ブレイクタイムといったところか。例えばその中でも、アインシュタインの最も有名な理論である「相対性理論」がなぜ彼のノーベル賞受賞の理由にならなかったのかという話は面白い。僕自身その話を初めて聞いた時、高尚な学者たちの妙な人間臭さを感じたりして、とても可笑しかった覚えがある。

さらに本書は、著者自身が「特殊相対性理論」の理解に長年苦しんだことを正直に告白しているという点でも面白い。ここまで著者に謙虚になられると、本来学識のあるはずの著者が妙に身近な存在に感じられるからだ。偉そうに学者ぶった人よりも、素人である我々に親切に歩み寄ってくれる人のほうが、親近感も湧けば、信頼もおけるというもの。著者のような姿勢はぜひ見習いたい。

最後にひとつ。

半ば物理本の宿命ともいえるが、本書にもやはり数式が登場する。

入門者向けの書籍とはいえ、さすがにそこは避けられない。しかし、あなたがいくら数字アレルギーだとしても、決してそこから目を背けないで欲しい。

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