ゴリオ爺さん (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルゴリオ爺さん (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者バルザック
販売元新潮社
JANコード9784102005057
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » フランス文学

購入者の感想

フランス文学の巨匠バルザックの代表作です。が、まず彼の作品を楽しむには、彼の文体にできるだけ早く慣れる必要があります。
「ドラマ」という言葉をあえて使用することの前置きだけで1ページ使い、
話が動き出す前の登場人物の1人の説明だけで、数ページを要しています。

しかしバルザックの作品の魅力はこの人物造形に上手さ、的確さにあります。
その人がどういう家に生まれ、そういう歴史をたどり、どういう行動から、どういう性質を持っているのが明らかなのか、
どうなっていくのか――作者は事細かに、時には哲学的な講釈を加えて叙述しています。
紙面を割いている分とても信憑性があり、「確かにこういう人いるよね」と、ふっと自分の身近にいる人を思い浮かべてしまうのです。

野心はあるが良心を捨てきれない「ラスティニャック」、冷徹で豪胆な策士「ヴォートラン」、
娘を盲愛する凡人「ゴリオ爺さん」といった、読了後も忘れられない魅力的なキャラクターを作り出しています。
なので最初の方は冗漫に感じるかもしれませんが、ちょっと我慢して読み進めてみれば、
きっとバルザックの世界にはまり込んでいけると思います。

ちなみにこの作品中では、読み手のこっちが哀しくなるくらい、「世の中、金だ!」といわんばかりにお金の話やモノの金額について書かれています……。
かなりアイロニカルな(著者の言うところの)「人間喜劇」です。

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