La Bayadere [Blu-ray] [Import] の感想

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2013年冬にボリショイ劇場で収録された三部構成のラ・バヤデール。ニキヤ役はもちろんザハロワ。昔に比べると多少若々しさは影をひそめたが、円熟味を増した精緻なバレーは相変わらずだ。各部とも個性的なステージ、ダンス、ライティングが施され、HDの良さを200%実感できる。第一部の背景で、流れるように見える滝の流動感、各部を通じて使用されるベールなど細かな点にも配慮が行き届き、華やかなステージ、陰影、透明感のある色彩と照明などが相まって、さすがにボリショイと実感させる。個性的なダンスも多く、コスチュームも素晴らしい。見どころ満載。リフトされたベールをまとうザハロワは、まるで本当の迦陵頻伽かと思わせる素晴らしい演出だ。第三部はことのほか素晴らしい。やや長めの暗黒の後、この世のものとは思えない透明感のある白く青い世界が徐々に広がって行く。特にワイドからアップ画面へ切り替わる際に、わずかながら残像効果を残したカメラワークは見事だ。

多少不満が残る点として、第一部で恋人に再会したニキア役のザハロワの喜び溢れる表情を確認はできるが、ダンスだけに留まらず表情などにも表現力のある人だけに、もう少しアップ画面で見せて欲しい。また、第一部および第二部のストーリー性が、パリ・オペラ座のラ・バヤデールに比べると多少劣る気がする。毒蛇に噛まれるニキヤの前後のシーンなどは多少唐突な感じがあった。特徴的な挨拶と高僧役はオペラ座に軍配。そして残念だがガムザッティー役のアレクサンドローワもダンス自体は迫力がありうまいが、オペラ座のプラテル程のキラキラ感がやや欠けるような・・・。

劇場の臨場感なども十分楽しめ、2時間5分ほどの時間はあっという間。ボリショイのHDコレクションの中でも上位を占める素晴らしい作品だ。ちなみに、2014年11月には再び来日公演が予定されており、このラ・バヤデールも演目に載っている。