ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者村上 春樹
販売元新潮社
JANコード9784101001418
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者

購入者の感想

時間も空間も越えて、物語のなかに引き込まれました。一番好きです。

ねじまき鳥クロニクルの「あの部屋」って「人間の精神の一番ややこしい部分」を描いてるのかな、と最近考えています。気難しい部分というか。どんな人だって「気難しい部分」っていうのを持っていて、例えば、他人との会話の中で、自分の大問題に対して安易な共感をされたり、何かをしようと思うとき「お前はそんなんじゃないやん?」みたいな押し付けをされたり、いろいろあると思うけど、心の奥の方が痛んで仕方がない時がある。自分の中の「気難しい部分」に他人の行動や言葉が触れて、気が狂いそうになる。親や友達とかあらゆる周りの人との関係の中にそういうのってあって、自分も他人に対してしてるかも知らないから、本当に気を付けないとだめなんだけど。
 そして、そういうものが人生を通して積み重なっていって、神経症になったり、「自分はダメだ」と閉塞感に陥ったり、突発的な異常行動に走ってしまう。それが、この小説では、主人公とクミコの関係を通して描かれてる。
「井戸」の意味は相手を理解するためには、まず自分の「気難しい部分」と向き合い、見つめ、あらゆる要因(トラウマとか、その人の心が自由になるのを妨げる何か)によって生きることに行き詰っている他者の「気難しい部分」に気付けってことだろうか。ワタヤノボルの存在は、その人の「気難しい部分」を痛めつける象徴だと考えれば、複雑な物語が一気にクリアになる。
 結局、「その人のことを理解出来た」と思った瞬間、その人のことを知ろうとする努力をすることを止めて、その人の「気難しい部分」を痛めつけるようなことを知らず知らずの内にしてしまうんだろうし、それだから、家族とか親しくなりすぎた友人との関わり合いって、難しいのだろうな。だから、他者との関係の中では、「こいつはこうだ」とか決め付けるのではなく、もっと「知らないことのほうが圧倒的に多い」という「開かれた心」を持って接しないといけない、と最近、改めて考えています。ややこしい物語だけれど、お薦め。

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