どうすれば「人」を創れるか: アンドロイドになった私 (新潮文庫) の感想

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タイトルどうすれば「人」を創れるか: アンドロイドになった私 (新潮文庫)
発売日2014-10-28
製作者石黒 浩
販売元新潮社
JANコード9784101262512
カテゴリ » ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 科学読み物

購入者の感想

そっくりロボット、ジェミノイドの制作で知られる工学者の石黒浩。
この元本のハードカバーは大変衝撃的でした。

人間に似せたロボットを作る過程で、人間とは何かを照らし出すのですが、そのありかたはひじょうに心理学的。
自分のアンドロイドを遠隔操作するなかで、自分の体が「あそこにある」と感じたり、または他人のアンドロイドでも「自分の体だ」と感じて、本来のモデルと「身体を取り合う」ような気がしたり、
女性の場合は、自分のアンドロイドが理想の自分のように思えたり、
だんだん、自分とは何かのボーダーが溶けてゆきます。

そうした主観的関わりあいだけではありません。
ロボットと役者を組ませて演劇をさせる(平田オリザとの協同作業)という第三者的視点から見るなかで、役者のありかたの意識を通して、人間も他人との関係でロボット的に反応している部分をメソッド化、技術化できる、とか
また、他人から見て「人間らしい」とは、間合いとか、微妙な身体のぶれの動きとかであり、それを演出家や文楽の人形遣いがロボットにつけることで、主体的自律性を備えた存在に見えてくるなど、
「人間は他の人間のどのような部分を、人間と感じ、求めているのか」が洗い出されてきます。

さらにそれを踏まえて、心理的コンパニオンとしてのテレノイドやハグビー(この最終章が新たに付け加わっています)を開発し、人らしい形ではなく、むしろ人肌のぬくもりと触感が、「人間らしさ」を構成していることを突き止めます。

身体と自分の関係、他人と自分の関係、そして他者から得られる慰めや癒やしとは何か、これらの問題に一石を投じるとともに、人間にとって人間(他者、そして私のアイデンティティ)とは? をロボットを通じて明らかにした著作として、SF(『サロゲート』に触れた部分もかなりあります)や近未来のヴィジョンにも届いています。
 きわめて読みやすくスリリング。
(なお、加筆された一〇章のほうでは、「遠隔電話」としてのジェミノイドを海外に送って講演させるという試みが、臨場感をもって語られています)
 

これまで数点のアンドロイドをテレビなどで見てきたが、それらがどのような目的と経緯で作られたか、わかりやすい言葉で順序良く書かれている。人間の心をさぐる方へ、研究の過程で移ってきたというあたりが興味深い。

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