木のぼり男爵 (白水Uブックス) の感想
参照データ
タイトル | 木のぼり男爵 (白水Uブックス) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | イタロ カルヴィーノ |
販売元 | 白水社 |
JANコード | 9784560071113 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » イタリア文学 |
購入者の感想
本作は,ゲテモノばかりを料理する姉の出したカタツムリ料理を拒否し,12歳で木の上に上って以降一生を木の上ですごした兄コジモの生活を弟が語るという形をとった,おかしみともの悲しさのつまった奇想天外な物語です。
最初は気が狂ったおかしな少年と見られていたコジモも,自ら快適な生活を考案し,地上に生きる者に示唆を与えることによって,ある者にとっては尊敬の対象となります。
そしてコジモが18歳になったころには指導者としての貫禄が備わり,他人を指揮することについて父に問われた際には
「わたしに他人より多くの考えがある時,この考えを人が受け入れる限り与えること,これが指揮することと承知しております」
と答えるまでの貫禄が備わり,地域の人々からも好意的に受け止められるまでになります。
そして多くの本を読み知識も豊富になるにつれて,人生において最も不足しているものに気がつきます。
そう。人を愛するということです。
奔放で美しい女性ヴィオーラとの再会の場面は,本書において最も感動的です。
コジモの飼う犬オッティモ・マッシモ(なんておかしな名前でしょう)の幸せそうなそぶり。
それだけにその後の展開は物悲しい。
ユーモアと示唆に富んだ良い作品です。
最初は気が狂ったおかしな少年と見られていたコジモも,自ら快適な生活を考案し,地上に生きる者に示唆を与えることによって,ある者にとっては尊敬の対象となります。
そしてコジモが18歳になったころには指導者としての貫禄が備わり,他人を指揮することについて父に問われた際には
「わたしに他人より多くの考えがある時,この考えを人が受け入れる限り与えること,これが指揮することと承知しております」
と答えるまでの貫禄が備わり,地域の人々からも好意的に受け止められるまでになります。
そして多くの本を読み知識も豊富になるにつれて,人生において最も不足しているものに気がつきます。
そう。人を愛するということです。
奔放で美しい女性ヴィオーラとの再会の場面は,本書において最も感動的です。
コジモの飼う犬オッティモ・マッシモ(なんておかしな名前でしょう)の幸せそうなそぶり。
それだけにその後の展開は物悲しい。
ユーモアと示唆に富んだ良い作品です。