藤沢周平の言葉―ひとの心にそっとよりそう (角川SSC新書) の感想

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参照データ

タイトル藤沢周平の言葉―ひとの心にそっとよりそう (角川SSC新書)
発売日販売日未定
製作者高橋 敏夫
販売元角川SSコミュニケーションズ
JANコード9784827550726
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

 「藤沢周平の言葉は、なにも、もたらさない。/それは人をかえない。人をうごかさない。人をみちびかない。/人が孤独を感じるとき、あるいは悲しみや苦しみにたえきれぬ思いでいるとき、人にそっとよりそう。/これが、藤沢周平の言葉である」(はじめに)。
 「ひとの心にそっとよりそう」を副題にもつ本書は、冒頭で、藤沢周平の言葉を「情景や場面をつくりだす、ひとつらなりの言葉」と定義し、だからこそ、ふんだんな引用と丹念な解説とをもって藤沢周平の小説やエッセイによりそい、藤沢周平というひとつの生き方によりそっていく。
 すくい上げられた「微光のごとき」(帯)情景や場面たちは、闇を充満させる藤沢周平の作品における暗黒の解決でも、「生きづらい時代」(同帯)を生きる我々に解決を与える明朗な救いでもない。しかし、失ったが故に確かなものとして残る藤沢周平の故郷の記憶、暗くもあたたかな「苦しみと悲しみの交感」や、悲しい友情の物語を辿る本書は、次々に、闇と鬱屈の中でこそ果たされる交感のほの明かりを、充実した生の重みとして提出する。
 そんな微光の連なりが、「いかなる権威、権力をも愚弄してかかる反抗心」の微光や、戦争と戦後にかかわって藤沢周平が獲得した嫌悪という名の微光へまでいたるとき、この「『微光のごとき』言葉たち」は「生きづらい時代」の読者へも確かに届くに違いない。
 ひとの心にそっとよりそい、しかし、わずかに読む人を変え、ほんの少し動かす一冊として。

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