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タイトルatプラス21
発売日販売日未定
製作者柄谷 行人
販売元太田出版
JANコード9784778314194
カテゴリ » ジャンル別 » 人文・思想 » 思想誌

購入者の感想

 特集で語られる「憲法の条件」については、真正面から憲法改正を求める人たちが、現政権の「解釈改憲的手法」を批判していて、従来通りの正攻法なやり方を主張しているわけだが、なし崩し的なやり方をどうしてもどうしても容認できないようで、その辺は理論を重んじる学者と、実践的には搦手的なやり方も辞さない政治家との間に、認識のずれがあると感じた。

 特別寄稿の柄谷行人が述べている中では、必ずしも地域的な郷土愛(パトリオティズム)と世界市民主義(コスモポリタニズム)が対立せず、両立させる可能性があることに気づかされた。コスモポリタニズムとナショナリズムは対立するが、例えば日本の大阪や韓国の釜山に住む人が抱いている郷土愛は、コスモポリタニズムを唱えたカントが、当時のドイツの地方都市であるケーニヒスベルク出ることなく生涯を送ったことと通じるものがあるそうだ。

 いがらしみきおの漫画からは、数年前の東北で起こった大地震が、未だに「死の欲動」として強迫神経症を引き起こしている現状を感じさせられ、そこからもし救いを求めるとすれば、それはどういうことになるのか、その先の話の展開が気になるところだ。

 松本卓也の「レイシズム 2.0 ?」は、フランスの極右による移民排斥のスローガンと、日本の在特会によるヘイトスピーチの共通点が、現代ラカン派の集団心理学から説明され、それは何やらジジェクの、ジュイサンスが奪われている、と言う論法を思い起こさせた。

 辻信一の活動家としての生き方には、大学の研究者や学生としての限界があるにしても、限界内でもやるべきことはやろうとする姿勢には誠実さが伺われる。

 山崎亮が語るオクタヴィア・ヒルの慈善事業に捧げられた生涯も、イギリスに階級社会の限界があるにしても、やっていることの手法の正しさについて批判することはできない。

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