関ヶ原合戦と石田三成 (敗者の日本史) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル関ヶ原合戦と石田三成 (敗者の日本史)
発売日販売日未定
製作者矢部 健太郎
販売元吉川弘文館
JANコード9784642064583
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

他の方のレビューに「石田三成のことがあまり書かれていない」という指摘がありましたが、「三成にふれたページ数」という点ではその通りだと思います。
ただ、私はそれ以上にこの本の「なぜ関ヶ原合戦の敗者は石田三成とされたのか」という視点に魅力を感じました。つまり、三成は秀吉の生前にどう行動していたのか(起請文の話などは初めて知りました)。そして、現在の大河ドラマのような「悪人三成」像はなぜ生まれたのか、という視点です。直接的に「三成個人」を論じたページ数は少なく見えても、実際の彼の居所や行動、その権限の及ぶ範囲や限界などについて、「物語的」ではない客観的な目が向けられています。

秀吉は自身を最後の「下剋上者」とするべく、公家社会をお手本として「家格による政権構想」をめざした(これに三成が尽力)。しかし秀吉の死後、家康は「豊臣宗家の家格」を関ヶ原合戦・大坂の陣を経て乗り越えた(=「下剋上」を行った)。この事実は、「下剋上」を否定する徳川時代にとって非常に都合の悪いものであったため、徳川家は「秀吉の政権構想」をそのまま歴史に残すのではなく、「敗者石田三成」と歪曲し、「下剋上」色を少しでも薄くするために新たな物語を現在に伝えてきたのではないか。これがこの本の主張です。

この本に対する評価は様々だと思いますが、おそらく「最後の下剋上者徳川家康」が、どうやってそれを正当化したか、という視点で「関ヶ原合戦」を捉えた本はこれまでになかったのではないでしょうか。割かれたページ数、という点では少ないかもしれませんが、内容としては、ある意味この本は石田三成の一番の弁護人なのかもしれませんね。

豊臣政権を新しい切り口で理解できたが、石田三成に関し特別な記載は見当たらない。この内容でタイトルに石田三成の名前がつくのは納得できない。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

関ヶ原合戦と石田三成 (敗者の日本史)

アマゾンで購入する
吉川弘文館から発売された矢部 健太郎の関ヶ原合戦と石田三成 (敗者の日本史)(JAN:9784642064583)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.