お葬式―死と慰霊の日本史 の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトルお葬式―死と慰霊の日本史
発売日販売日未定
製作者新谷 尚紀
販売元吉川弘文館
JANコード9784642079990
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 日本の民俗

購入者の感想

 お葬式で、何でこんなことするのかな、という疑問がたくさんあったのですが、その根本的な理由としてお葬式をどう捉えているのか、の感覚が現代と近代、またその前とでは違っている、ということから納得できることがたくさんありました。
 逆に、お葬式や死者に対する観念の変化から読み取ると、今のお葬式の形がどんどん変わってきている、というのも当然の流れと理解できました。そして、今後お葬式の形がどうなっていくのだろうか、ということについても考えるいい題材だと思います。

日本人の身のまわりの文化の歴史と現在について教えてくれるのが民俗学者である、と思う。ただ「研究」するだけでなく、当事者である日本人にその成果をわかりやすく教えてくれる人。そういう意味での民俗学者としては、おそらく新谷尚紀氏が現代の代表格であると言ってよいだろう。
この本も、日本人の死をめぐる文化の今昔に関して、ですます調の文章で平易に解説してくれている(中身の大半は既出の論考や講演の話を再構成したもの)。かつてのような死者への畏怖の念や死の穢れの感覚が強い時代が過ぎ去り、親しい死者の記念と記憶が大きなテーマとなりつつある現状を見据えつつ、葬儀や墓や盆行事の来歴を各種の具体例をあげながら論じていく。また、死後の世界についてイメージし語らずにはいられない人間本性を直視しつつ、近世の怪談話や現代における臨死のフォークロアなどを紹介している。
後半部では、現在各学会において研究が活発になされている戦死者の慰霊(追悼・顕彰)について、民俗学の立場からの議論を行っている。これは特に若い世代にとっては「身のまわり」の文化ではなくなっているので、やや難しい話ではあるが、じっくり読めばやはり勉強になり、だんだんと身近な問題のように感じられてくる。
今後の私たち日本人の死者に対する態度のゆくえを、事実に基づき考えていくための作品として、実に勝手の良い本である。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

お葬式―死と慰霊の日本史

アマゾンで購入する
吉川弘文館から発売された新谷 尚紀のお葬式―死と慰霊の日本史(JAN:9784642079990)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.