学校を改革する――学びの共同体の構想と実践 (岩波ブックレット) の感想

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参照データ

タイトル学校を改革する――学びの共同体の構想と実践 (岩波ブックレット)
発売日販売日未定
製作者佐藤 学
販売元岩波書店
JANコード9784002708423
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 教育学 » 一般

購入者の感想

改革が行われることで、学校がどのように変わってゆくのかを想像するための助けになる本である。ページが少ないので、具体的な方法の解説もかぎられているが、4「協同的学びによる授業改革」、5「教師間の同僚性の構築」の章を読めば、自分の学びの振り返りや職場の支援関係のあり方を考えるのに役立つ。

評者は海外で運営される stackoverflow というプログラミング学習のための Q&A サイトを日常的に利用しており、「低学力の子どもには自らの力で窮地を抜け出す能力、すなわち他者を信頼し、他者に援助を求める能力を育てなければならない(p31)」ことの重要性をより感じるようになった。このサイトでは他者に伝わる質問ができないために、回答が得られない事例をたくさん見ることができる。

「教え合う関係」と「学び合う関係」の違いは教える側と教わる側のあいだに互恵的関係があるかないかである。「教え合う関係」ではわかっている人がわかっていない人に一方的に教える関係であり、両者のあいだに「互恵的関係」はない。「学び合う関係」は教わる側が質問したわからないことを起点とする学び合いであり、教える側と教わる側の両方に恩恵をもたらす互恵的関係である(p30)。

Q&A サイトにおいて回答することで「学び合う関係」を手軽に体験できる。回答するために、自分が不明な点を調べたり、質問者からのフィードバック、ほかの人の回答を見ながら、よりわかりやすい表現や例を模索するからである。

教師は基礎的学力が向上してから、発展的学力が向上すると考えるが、実際には、発展的学力から向上したあとに、基礎的学力の向上が起きる(p37)。
低学力のこどもが<ジャンプの学び>、つまり、基礎的知識の活用する学びにおいて、基礎を理解する光景が頻発することに気づく。<発展>から<基礎>に降りる学びを遂行している(p29)。

「学びの共同体」を初めて実践しようとされる方には、これまでの実践を踏まえたアドバイスが書かれていて参考になります。
すでに実践されている方には、全国をまわっている著者からの実践結果を踏まえたアドバイスも書かれていて参考になります。
ナルシスト的にも読めるところはありますが、学校種に関わらず、今日的な学校教育の問題点が把握できると思いますが、
この学校改革に関する記述は、基本的には、「ビジョン」であることを肝に銘じるべきだと思います。どうしてもハウツー的な
発想で読みたくなるのは現場にいる者としては当然なのですが、一種の観想的な作業をやりながら、同時に現実の現場の諸問題
にも当たるという困難な作業であることも知っておくべきだと思います。その上で本書を読まれると、目から鱗のような場面が
かなり出てくるのではないかと思います。

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