かもめのジョナサン完成版 の感想

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著者オリジナル最新作『マリア』のレビューにも書いた通りで重複するが、
この作品は著者の全てのメッセージを含んでいると思う。
インフィニティ~始まりは終わりで、終わりは始まり~。
時間はループし、生きることは、常により良い時間を作る努力と練習をすること。
意識不明の重態から復帰して、すでに完成していた完全版刊行を成し遂げた背景には、
著者の最初で最後のメッセージが含まれていると感じる。
40年以上前に書かれた本作『ジョナサン』を35年前に読んだ時は若いなりに感動したが、
時を経て、改めて著者のメッセージに触れると、また、現在なりの感動と納得で胸が震えた。
人生の節目節目で、リチャード・バックの作品群に出会えて本当に良かったと思う。
全ての始まりは『ジョナサン』で、全ての教え・救いは『イリュージョン』、そして、完全版を刊行
させる原動力となった『マリア』、そして終わりは、やはり『ジョナサン』なのだと、改めて
思い知らされた。今までの全作品が『ジョナサン』への賛美であり補強作なのだと感じる。
でも、これで終わりではなく、これが始まりなのだと、バックはこれからも伝え続けていくのだと思う。

1970年に発表された後、空前のベストセラーとなった、
かもめのジョナサン。
今回、幻のPart4が追記され、完成版として出版されました。

食べることよりも純粋に飛ぶことを愛し、ひたすら自分の理想を追
求したカモメ、ジョナサン・リヴィングストンの物語ですが
Part4は、今の日本で奮闘している若者に対しエールを送る内容と言えます。

仲間に理解してもらえない悲しみを抱えながら、
それでも飛ぶことを追求し続ける主人公ジョナサン・リヴィングストン。

生きていく上で必要な美学、そして身を賭して何かを達成することの
意義を教えてくれる、素敵な自己啓発書です。

すぐに読み終えることができますので
常に傍らに置いておきたい、すばらしい一冊です。

以下に私がこの本を読んで参考になった点を、引用してご紹介します。

・「骨と羽根だけだって平気だよ、かあさん。
ぼくは自分が空でやれる事はなにか、やれない事はなにかってことを知りたいだけなんだ。
ただそれだけのことさ」

・われわれは無知から抜け出して自己を向上させることもできるし、
知性と特殊技術をそなえた高等生物なのだと自認することも可能なのだ！
われわれは自由になれる！いかに飛ぶかを学ぶことができる！

・彼のただひとつの悲しみは、孤独ではなく、輝かしい飛行への道が
目前にひろがっているのに、そのことを仲間たちが信じようとしなかったことだった。
彼らが目をつぶったまま、それを見ようとしなかったことだった

・さらに彼は飛行のさまざまな方法を身につけた。
そのために払った代価を、彼はすこしも惜しいとは思っていなかった。
やがてジョナサンは、カモメの一生があんなに短いのは、
退屈と、恐怖と、怒りのせいだということを発見するにいたった。
そして、その三つのものが彼の心から消えうせてしまったのち、
彼は実に長くて素晴らしい生涯を送ることとなった