空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫) の感想

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タイトル空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)
発売日販売日未定
製作者池井戸 潤
販売元講談社
JANコード9784062764520
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » あ行の著者

購入者の感想

複雑で飽きさせない構成と表現力豊かで読みやすい文体。

緊張と弛緩を繰り返しながら主人公が追い込まれ焦らされる展開が続く。モデルの実際の事件と対照して勧善懲悪を期待しつつもさすがにたまらなくなってきた頃、伏線が回収されて大団円がくる。読者は最後にきっと鳥肌がたつほどの快感を得ることができるだろうと思う。

私は、どんな物事にも捉える角度によってもっともらしい理屈付けができてしまうことの虚しさを知っているつもりである。良識があれば判断の際に少しは逡巡(しゅんじゅん)するものだろうと思う。
だから、本作の人物の描き方についてふと、こんなにバランスを欠いており、利己の一点で単純な一方的なひとがいるのだろうか、とフィクション感を抱きそうになることもあった。悪役の演出が過ぎるのではないかと。
しかし、テレビに映った某政治家さんの言動がまさにそれで、現実感を伴って納得できた(笑)

解説も説得力ある内容で、著者と本作の解説がしっかりされていて、共感できるし理解の役に立った。解説にタイトルがあるのも斬新に感じた。

最後にレビューを書くにあたり、本作が候補だったにもかかわらず受賞作なしだった当時の直木賞選考委員の選評を読んでみた。本離れが進むなかで多くの読者に読まれていることが本作の評価を如実に反映していると思う。
・・・よほどこちらのAmazonレビューのほうが率直だと思った。

星を10個つけたいくらいの最高評価の本です。単行本が発刊された時にタイトルからして面白いに違いないと思っていましたが、待望の文庫版が発刊されてすぐに買いました。内容は期待を全く裏切らないものでした。ご存じのとおり三菱自動車のリコール隠し事件を題材にしたものですが、三菱グループという超大財閥企業と中小企業の運送会社との闘争という構図になっています。本書は直木賞と吉川英治賞の候補にあがった本ですが、もしかしたら三菱グループから圧力があったことで受賞できなかったのではないかとさえ疑わさせるほどリアリティがあります。筆者は人の命よりも社内的な保身のほうが重要な大企業の体質を痛烈に批判しており、大企業内で常識が世間の非常識となっていることにも言及しています。一例として出版社にも対しても広告費の削減を盾に報道をコントロールする実態なども明かされています。実際に本書もテレビドラマ化されていますが自動車業界からCMが取れなくなる可能性があるため地上波放送ではなくWOWOWでの放送でしか放映でえきなかった事実があります。それくらいショッキングな内容であることは確かです。ここ数年間に読んだ本の中で間違いなくベスト3に入る本です。

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講談社から発売された池井戸 潤の空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)(JAN:9784062764520)の感想と評価
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