破綻──バイオ企業・林原の真実 の感想

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参照データ

タイトル破綻──バイオ企業・林原の真実
発売日販売日未定
製作者林原 靖
販売元ワック
JANコード9784898314098
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 実践経営・リーダーシップ » 企業動向

購入者の感想

林原とは全く関係のない銀行で融資業務に携わっている銀行員です。
同社のことは当時のニュースで流れたことしか知りませんので、本書に書かれている内容が正しいものとして意見させていただきます。

まず本書でも述べられていますが、同社は粉飾決算を行っていました。これは著者も認めていることです。
(本書では借入金残高の粉飾を行っていたとしている(P88)、しかし当時のニュースでは売上高・売掛金の粉飾となっていた。
 なぜこのような食い違いが発生しているのかの理由は本書に記載されていない)
 
著者はその上で、この粉飾決算は重要な問題ではない、との持論を展開しています。

しかし、金融機関が融資を行う際には、3つの内容を吟味します。その3つとは「経営者の人物」「会社の内容」「融資の必要な理由」です。
粉飾された決算書を提示されると 銀行は「会社の内容」の判断を誤ることとなります。

そして何よりも重要なのは、偽りの決算書・借入明細を提出していたという事実自体です。
商売は「信用」により成り立っています。
単純な売買であっても、相手が代金を支払ってくれる、相手が商品を渡してくれるという信用があってはじめて成り立つものです。
代金が支払ってもらえないかもしれない、商品の引渡がしてもらえかもしれない、という疑いを起こさせる相手とは、怖くて商売はできません。

「弁済率93%が示すように、借入に対する十分な資産のある優良な会社であった」と主張するのであれば、正しい決算書を提示するべきでした。
粉飾が判明すれば、次に提示された決算書がはたして正しいのか?と誰でも疑うでしょう。  一度失った信用は二度ともどらないのです。
結果としては十分な資産があったのでしょうが、長年だまされ続けていた銀行としては(当時のニュースでは1984年から30年近く粉飾していたとされている)、
それを信用することができなかったのです。

また、著者は「(林原は)非上場の中小企業(P28)」「資本金は中小企業に該当する1億円(P33)」と中小企業であったと強調しています。

岡山の誇る旦那企業であった林原の破綻に至るまでのドキュメントです。

長年にわたる粉飾決算等、杜撰な経営等、マスコミで報道された内容からは随分と
乖離しているように感じますが、
更正会社の弁済率は普通11%ほどで、40%を超えるのは極めて稀と言われる中で、
弁済率93%という驚異的な数字と、最終利益の5倍の700億円もの大金を投じた長瀬産業の経営判断を
考え合わせると、著者の言うように破綻させられたと捉えるべきなのでしょう。

しかしながら、地方の未上場企業でありながら岡山の優良企業と持て囃され、脇が甘かった事も十分うかがえます。

銀行経営者がどんどん小粒になり、清濁併せ飲み、争いから超然としているバンカーは
もう皆無といっていいのでしょう。

 ビジネスはひとのかかわりで出来ていることを嫌というほど見せつけられる、
ビジネスマン必読の書の一つであると思います。

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