壊れた脳 生存する知 (角川ソフィア文庫) の感想

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タイトル壊れた脳 生存する知 (角川ソフィア文庫)
発売日販売日未定
製作者山田 規畝子
販売元角川学芸出版
JANコード9784044094133
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 科学 » 闘病記

購入者の感想

5年前、2011年5月1日・・・
「東日本大震災」のおよそ2か月後、私は一人暮らしのアパートで「クモ膜下出血」を発症、6か月の入院をしたそうです。
退院後は実家に戻り、週2回の通院リハビリ(言語・理学療法)を半年と週3日のデイサービス(マシントレーニング等)を1年間続け、現在は地域の「中途障害者就労施設」で軽作業をしています。

「クモ膜下出血で6か月の入院」というのは他の方々のお話を聞くと、割と・・・いえ、かなり異例の長期入院だったようですね。
意識の戻らない期間、意識のハッキリしない期間、身体の動かない期間、それぞれが他の方よりもかなり長かったそうです。
軽度の場合、数週間から1か月程度で退院を迎えるようですし、重度の場合そのまま退院を迎えることなく・・・と言うケースが多いようですね。
ネットで「クモ膜下出血の治癒率」と言うものを目にした事があるのですが、確か・・・
「2:2:2:4」等と書かれていたと記憶しています。
2割は「完全復帰」
2割は「軽度の障害」
2割は「重度の障害」
そして残りの4割は・・・(-_-)ナムナム
Wikipediaによると・・・

~最初の出血で3分の1が死亡する。さらに血管攣縮(れんしゅく)や再出血の影響が加わり、4週間以内では約半数が、10年以内では6080%が死亡すると言われている。また救命できても後遺症が残る例が多く、完全に治癒する確率はクモ膜下出血を起こした人の中で2割と低い。~

どちらも「医療機関の正式なデータ」とはどこにも書かれていなかった(と思う)ので、この数値がそのまま正しいものとは思いませんが、クモ膜下出血とはそれだけ「恐ろしい病気」と言う事の表れなのでしょう。

さて退院後に自分が「どんな状態だった」のか、まざまざと気づかされたのが・・・

まず・・・書けないんです、漢字どころか平仮名が。
読めるんですよ、漢字にルビのない小説なんかも割とスラスラと。
打てるんですよ、ブラインドタッチでパソコンが。
とにかく「書けない」んです。

 高次脳機能障害をもつ「医師」の記録。
 モヤモヤ病による脳出血・脳梗塞により,右頭頂葉を中心にダメージを受ける。自身の視覚失認や記憶障害,半側空間無視などの症状の描写は圧巻。想像を超えている。言語能力が残っていたとはいえ,これだけの文章をまとめるのは相当な苦労だっただろう。
 脳卒中が一般的なことであるにもかかわらず,意外と知られていない高次脳機能障害。
 神経心理学,認知神経科学の一般的読み物として非常に優れたものといえる。また,医療現場関係者にも高次脳機能障害患者の内面,およびニーズを知るうえで有益だろう。
 見る,歩く,読む,話すなどなど,自分が苦労せずにできていることは,じつは非常に繊細な脳のメカニズムのうえに成り立っているのだともいえる。あらためて,人間のからだ・脳の精緻さ,タフさに驚かされた。

 再度にわたる脳出血、脳梗塞をわずらい後遺症として高次脳機能障害を負った女医さんの手記というか闘病誌、いや医師ゆえの疾患、障害を冷静に客観的に、内面から記述する記録といったところだろうか。
 私自身、リハビリテーションの現場で脳梗塞、脳出血後の後遺症がある人たちと毎日のように関わって10年が過ぎ、上司の先生から本書を薦められた。高次脳機能障害を負った人たちの症状は彼らの訴えをはじめ、障害として検査をしたりして鑑別をし確認できたり、病院内での行動、生活の様子でとらえることが多かった。本書を読み、障害を負った人たちの苦悩に自分が誠実に傾聴してきたか疑問を感じた。著者は障害を負った後、ペーパードライバーのコースで、クランクはうまく出来るが直線コースが難しい、その理由なども述べられている。そんなことがあるのか、と知らなかった自分を恥じた。 
 とはいうものの本書の「おわりに」を読でいるところで涙がこぼれた。知らないうちに顔が熱くほてっていたのに気づいた。本書の内容は、解説で山鳥先生が「重篤な右頭頂葉障害患者さんの貴重な手記」とされている。高次脳機能障害の障害、空間性認知、記憶、言語、注意の障害が障害を負った人の内面から描かれ、自ら医師ゆえの分析もされ、生々しく伝わってくる。
 と、同時に彼女の生きる姿勢が読み進むうちにこちらもリアルに伝わってくる。行間からはさらけ出される彼女の苦悩も伝わってくる。正直に吐露されていたりする。一方で、前向きに人生を肯定的にとらえようと努力され高次脳機能障害のリハビリテーション、医師としての復職、子育てとエネルギッシュな方だ。また息子さんとのやりとりも、母である彼女の思いを知るとほろっとした。彼女の生きる姿勢に尊敬の念を抱かずにいれない。

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