売る力 心をつかむ仕事術 (文春新書 939) の感想

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タイトル売る力 心をつかむ仕事術 (文春新書 939)
発売日販売日未定
製作者鈴木 敏文
販売元文藝春秋
JANコード9784166609390
カテゴリ » ジャンル別 » ビジネス・経済 » 経営学・キャリア・MBA

購入者の感想

 ベストセラー「聞く力」以来文春新書から出版されている「○○の力」シリーズと思ってページを開いた。
 この本のキーワードの一つ、「お客様の立場」は、事業者が陥りやすい視点の誤りを分かりやすく説いている。例えば、旭山動物園の小菅園長は動物が観客にお尻しか見せていないことに気づいたそうだ。動物が餌をくれる飼育員の方ばかり向いていることはまずいと気がつき、行動展示へと展開して観客のニーズを満たした。この事例はどの分野にもいえることで、事業の向く方向を示唆していて面白い。
 もう一つのキーワードは「手軽さ」と「上質さ」。そもそも、コンビニは「手軽さ」を提供することで世に生まれた。しかし、供給が需要を上回った現在ではそれなりの「上質さ」が必要だ。そこでセブンゴールドの商品レンジを思いつき、専門店以上の「上質さ」を提供して成功した。ただし、コンビニの原点を忘れずに「手軽さ」もほどほど埋め込んである。このコンビニの進化は、顧客の変化に応じた結果であった。
 社会が変わり、顧客が変わるのだからコンビニが変わるのは当たり前、という姿勢は普遍性がある。変化への適応がコンビニの売る力だったのである。
 本書は、著者と著名人との対談を紹介する形で進行するが、実は著者が編み出した事業成果を示している。それらはすでに成功した過去の事例であるが、著者はまだ本には書けない何か仕込んでいるに違いないと考えながら読むと興味深い。
 経営手法そのものの新しさは少ないが、身近なコンビニでの実践が読み手を引き込んでいく一冊である。

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