渡部昇一「日本の歴史」〈第4巻〉江戸篇―世界一の都市 江戸の繁栄 の感想

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家康の長寿により生み出され約250年間続いた江戸時代は、一言で表現すればパラドックスの時代であったといえる。

時代が武の時代から文の時代へ移り変わり、学問としては朱子学が正統となりながら、その他の学問が勤皇思想を生み、最終的な明治維新へ繋がった。
元禄時代の贅沢競争とバブルが今日につながる「日本らしさ」を生んだ。
本書を読むと、それらのパラドックスが、特に学問と思想の観点から理解することができる。

特に後半の2章、「幕府と天皇」「江戸文化の独自性」については、明治維新へ至る勤皇思想の源流がすでに江戸時代早期に生まれ、育まれていたことと、
教科書では完全に存在感を失っている天皇の思想と動きがわかる。

歴史は表面的にとらえるのではなく、深層の萌芽から考えるべきだということを改めて教えてくれる。