ニホンオオカミの最後 狼酒・狼狩り・狼祭りの発見 の感想

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タイトルニホンオオカミの最後 狼酒・狼狩り・狼祭りの発見
発売日2018-09-03
製作者遠藤 公男
販売元山と渓谷社
JANコード9784635230094
カテゴリノンフィクション » 歴史・地理・旅行記 » 歴史 » その他

購入者の感想

ニホンオオカミ絶滅まで、主に江戸時代末期から明治時代後期の記録を著者が追ったルポルタージュです。
著者はシートン動物記が好きだったと言っていて、オオカミの生前の姿やオオカミ捕獲に関しては著者の想像によるところの表現が多いです。副題には「狼酒・狼狩り・オオカミ祭りの発見」とありますが、この本の8割は狼狩りの話です。
序盤は著者が里山を訪ね、日本の山奥に残るオオカミに関する民話や語り伝えをその地に住むお年寄りなどから聞き取った話。
次に、日本に3点のみ残るニホンオオカミの剥製を訪ね、その後明治38年にイギリスロンドン動物学会と大英博物館が日本に派遣したアメリカ人のアンダーソンがイギリスに持ち帰ったニホンオオカミの仮剥製を大英博物館まで訪ねた話。大英博物館にあったニホンオオカミの仮剥製は、状態の良いもので、著者の気持ちの高揚が伝わり、読者である私も読んでいてわくわくしました。
その後の章では、江戸時代末期の鹿狩りや狼狩りの話になります。江戸時代に、土地の権力者によって庶民の狩猟が禁じられ、その反面権力者が大量虐殺、乱獲とも呼べるような大規模な鹿狩りをしていたという話は衝撃を受けました。オオカミは無関係ですが、重税に苦しめられる民のために隠念仏の導師をしながら、636もの村を20年かけて口説いて一揆を起こした聡明な人がいたという話には胸が熱くなりました。
江戸時代に、岩手で導入され始めた酪農の家畜や、子供がオオカミに襲われた記録があり、日本にクマ以外に人間を襲う大型肉食動物が本当にいたのだ!と驚きます。
明治になってからのオオカミ駆除は徹底的で、賞金を出して根こそぎ殲滅していたようで、悲しい気持ちになりました。
狼狩りの証言と題した第5章の岩手県の狼捕獲記録は55個あり、137頁から224頁まででこの本の3分の1を締めています。この狼狩りの章は記録とそれぞれの地に狼退治をした人の子孫を訪ねていく話で、しらみ潰しによく探したなぁと著者の根気と熱意に関心します。ただ、この章は資料としては価値が高いとは思うけれど、一般的な読者としては少々退屈な部分でもありました。

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