古典BL小説集 (平凡社ライブラリー) の感想

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参照データ

タイトル古典BL小説集 (平凡社ライブラリー)
発売日2015-05-08
製作者ラシルド
販売元平凡社
JANコード9784582768299
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 日本文学研究

購入者の感想

 表紙、収録作のセレクト、訳文、解説、著者紹介、何もかもが行き届いていて、小説・研究書、どちらとして読んでも興味深い。
 以前、国書刊行会が『書物の王国』シリーズにおいて、そのものズバリの『同性愛』というアンソロジーを編んでいたが、こちらは国内外・古今を問わず自由なセレクトで、古典から近現代小説まで幅広く収録されていた。これはこれで面白いのだが、現代BLに慣れた人にとっては読みづらそうであり、男性作家の男性目線ばかりで物足りなさもあった。
 本書はあえて「女性作家が書く男性同士のホモエロティックな物語」という縛りを設けることで、より焦点が絞られ、やおい論・ジェンダー問題などの研究書としても機能している。もちろん、現代BLしか知らない人にとってはBL文学の入門書として楽しめるし、なじみのある人にとっては本邦初訳の作品がほとんどなのに加え、日本ではあまり知られていない作家の作品もあるので読みごたえがあるだろう。
 あらすじと、読後の印象をざっと記しておく。

★自然を逸する者たち(ラシルド)・・・厳格な兄・ルトレールと、年の離れた奔放な弟・ポール。兄は弟を保護者として見守りつつ、ひたむきで激しい愛情を心に秘めていた。もろく、危うい2人の関係は、1人の娘の出現によって破滅に向かってゆく。
 世紀末のデカダン趣味あふれる兄弟相姦もの(しょっぱなからエンジン全開ですね、平凡社さん・・・)。個人的に、兄の「爪を私の後ろの肩に這わせてくれ───」というセリフがエロティックで好きだ。

●アンティノウスの死(ラシルド)・・・アンティノウスはローマ帝国皇帝ハドリアヌスの寵愛を受けたが、若くしてナイル河で不可解な死を遂げた実在の美少年。
 夕暮れ時、ナイル河畔で熱に浮かされたように語り続ける皇帝と、どこか茫洋としてとらえどころのないアンティノウス。読んでいると、もしかしてアンティノウスはとっくに溺死していて、皇帝は幻に向かってしゃべっているのでは?と思えてくる。能楽を思わせるような夢幻劇。

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