就労支援を問い直す: 自治体と地域の取り組み の感想

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タイトル就労支援を問い直す: 自治体と地域の取り組み
発売日販売日未定
製作者筒井 美紀
販売元勁草書房
JANコード9784326602667
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

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「終身雇用で十分な給与を確実に支給し続ける」という企業によるセーフティネットがかつてのように機能しなくなり、安定した仕事、生活に困らない収入、職業能力を継続的に上げていく場を得ることは簡単でなくなっている。それだけが原因とは限らないが、就労に困難を抱える人や生活保護受給者が増えている。

本書はまず、国がいかなる問題意識を持ち、いかなる指針を示しているか、制度や予算を通じて概観する。そのうえで、実際の就労支援にあたっている自治体の事例を公的資料と聞き取り等の調査を通じ、多角的に検証していく。
調査対象は神奈川県横浜市と大阪府豊中市。自治体規模や産業構造、人口構成の異なる両市を取り上げることで、就労支援のあり方を、ある程度幅のある視野で考えることに成功していると感じた。
(事例としては、複数の地域団体が連携して就労困難な若者による高齢者の生活支援事業を立ち上げた例、ワーキングマザーが子育てと両立しながら経営に携わる飲食店のモデル事業、中小企業診断士が経営者へのヒアリングをもとに事業改善につながるかたちで企業の必要性に沿った人材を紹介する取り組みなどが紹介される)

本書は「そもそも私たちはどのような社会のあり方、働き方を望むのかを根本的に考え直す」という課題を掲げて筆を起こしている。
一般的に就労支援の有効性は、就労成功率や生活保護費の削減率をもとに語られる。そこには、ありていにいって「就労支援の目的は、正規雇用の職を得ることや生活保護を脱却すること」という暗黙の了解がある。しかし本書は、就労支援の目的は「誰もが社会参画でき、それを通して自己肯定感を持てるようにすること」と考える。したがって両市の事例も、こうした価値観に基づいて評価している。
終章では改めて、これからの社会構造をふまえ、労働のあり方とそれに合わせた就労支援のあり方についてページを割いている。

支援の内容とともに、支援の担い手についても詳述している。市の福祉部門でいえば、職員の人数や人事制度、担当する業務量、そしてどの程度の成果を出しているか、公的データをもとに整理。また市からの委託により就業支援に取り組む市民団体や営利企業の実態についても、章を設けて実態を報告している。

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