造形思考(下) (ちくま学芸文庫) の感想
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参照データ
タイトル | 造形思考(下) (ちくま学芸文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | パウル クレー |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 9784480096029 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 |
購入者の感想
後半の講義はかなり論理的になる。いや、彼はそのことを目標にしていたのではなくて、そういう深い思索が芸術に昇華できることを考えての講義だったに違いない。今でこそ、美術のデッサンに解剖図や骨格などを描かされるのは珍しくないが、それほどラディカルに現代の授業では語ってくれない。それでは新たな疑問を喚起してくれない。新たな疑問を生み出すことが、思考のエンジンをかけてくれるのにもかかわらずだ。それを彼の場合は、芸術に昇華されるためにそれを乗り越えさせようとする。新たな疑問を生徒に次から次へと投げかける。かなりハードな要求には違いない。私もこんな授業なら受けてみたいと思ってしまったし、そこには動的な過程を得て、色彩論や物理論を繰り広げる授業であり、実にスリリングだったはずだ。
色彩論でも、例えば「赤と緑の間は赤身のかかった灰色である」が、「灰色」は死の色であり、それだけに使いたい欲求に駆られる色である、という鋭い指摘もある。赤青緑の三角形(RGB)に対すること、青黄赤(CMY)の三角形の対称性についての話など、こういったことを実にラディカルに語ってくれる。これ以上はネタバレになるのでぜひ読んで下さい。
色彩論でも、例えば「赤と緑の間は赤身のかかった灰色である」が、「灰色」は死の色であり、それだけに使いたい欲求に駆られる色である、という鋭い指摘もある。赤青緑の三角形(RGB)に対すること、青黄赤(CMY)の三角形の対称性についての話など、こういったことを実にラディカルに語ってくれる。これ以上はネタバレになるのでぜひ読んで下さい。