朝鮮紀行〜英国婦人の見た李朝末期 (講談社学術文庫) の感想

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タイトル朝鮮紀行〜英国婦人の見た李朝末期 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者イザベラ・バード
販売元講談社
JANコード9784061593404
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 歴史・地理・旅行記 » 紀行文・旅行記

購入者の感想

まず、「イザベラ・バードは日本人なんてなんとも思ってないけど、しいていえば「嫌い(面白くない存在)」である」ということを念頭において本書を読んだ方がいいです(間違っても好きじゃない)。彼女が気に入ったのは「日本の自然」であって、普通の日本人のことは「矮人(こびと)」だと思っています。

「不思議の国のバード」が面白かったので、前から気になっていた「日本奥地紀行」と本書を一緒に『買っちゃった』(しかも新品で)のですが…。そうじゃなければ、読むの止めてたと思います。なので、お悩みの方がいましたら、とりあえず「1)日本奥地紀行を先に読むこと」「2)とりあえず図書館で借りること」をオススメします。何せお値段が結構する本なので。

<下記、ネタバレ含みます>
なぜ「1)日本奥地紀行を先に読むこと」なのかとうと、彼女の性格がよくわかるからです。その上で、本書を読むべきだと思います。彼女の「白人クリスチャン英語話者(+フランス語話者)至上主義」的な考えをよく理解してから本書を読むべきだと思いました。

日本人が嫌いな理由は色々あるにせよ、彼女の中では下記の序列だったでしょう(イギリス人達を除く)。
なお、朝鮮人と書くのは「李氏朝鮮時代」であることと書籍内で「朝鮮人」と書いてあるからです。他意はありません。念のため。
下記については、私が本書と「日本奥地紀行」の文章から推測したことです。彼女自身がこう並べたわけではありません。おそらく彼女の中ではこういう感覚だったんじゃないの?ということです。
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ロシア人>ロシアのコサック>ロシアに住む朝鮮人(特にクリスチャン化している人)>クリスチャンの清国人>その他の清国人>朝鮮にすむ朝鮮人>>"越えられない壁">>日本人のクリスチャン>>その他の日本人
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これぐらい、日本人が嫌いです。日本人のことだけ「倭人」「矮人(こびと)」とわざわざ何度も書いてくれているあたり、本当に嫌いなんだということがわかります。そりゃーどうもって感じです。「朝鮮紀行」っていってるのに、「矮人(こびと)」として何度も日本人を登場させてくれるあたり、気に障ってしょうがなかったんでしょうね。

・人柄は大変良いが統治者としては恐ろしく無能な朝鮮王
・利発だが王宮の外に殆ど出た事がなく、まじないと宮廷闘争に明け暮れる王妃
・王妃と対立し、王妃の一族を爆殺したり様々な陰謀を巡らせる冷酷な王父
・無能な王の取り巻きと、どの周辺国につくかで派閥抗争に明け暮れる群臣
・腐りきった貴族(両班)の民衆に対する非道としか言いようが無い搾取と暴虐
・横行する官職の売買と縁故主義に群がって更なる官位を要求する親戚、際限なく膨れ上がる官職ポスト
・縁故主義が腐敗を作り、腐敗が縁故主義を助長する負の腐敗スパイラル
・貴族の搾取に向上心や生きる希望を失った農民の群れ
・男女差別や階級差別が凄まじく、何事にも格付けと権威付けを行い差別を行う文化
・庶民には暴力以外に貴族の腐敗に抵抗する方法が無い世界、続発する農民反乱
・大衆の無知と恐怖と畏れ、原始的なシャーマニズムに縋る大衆とその代用品として布教が進むキリスト教
・恐ろしく不衛生で社会インフラが未整備であり、流通や貨幣経済が崩壊している都市の姿
・遺跡や遺構を大切にせず、最も進んだ美術や文化が妓生の芸や風俗であるという朝鮮文化の実態

本書はこんなアジア的な退廃と腐敗と陰謀が渦巻く、暗黒の地とでも言うべき李朝末期の朝鮮半島に乗り込んだ60歳を
超えたイギリス貴婦人の冒険心とバイタリティに溢れる旅行記です。

時期的には日清戦争前後なので日清露の睨み合いとそれぞれの勢力に与する李朝内の派閥抗争がリアルタイムで
描かれており、当時の世相が生々しく伝わってくる良質な歴史資料でもあります。

著者は「未開の地の野蛮人をキリスト教と近代文明で文明化させる→植民地化」という何とも当時の大英帝国的な
思想やイギリス人特有の皮肉のエッセンスを散りばめながら、朝鮮への文明化と大英帝国の植民地化の可能性を探る
というスタンスで執筆しており、日本の朝鮮への政治干渉や政治改革を「真摯ではあるが拙速(急ぎ過ぎで詰めが甘い)」
と辛辣に評しています。

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