日本人の経済観念 (日本の50年日本の200年) の感想
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参照データ
タイトル | 日本人の経済観念 (日本の50年日本の200年) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 武田 晴人 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784000263153 |
カテゴリ | 経済学・経済事情 » 各国経済事情 » 日本 » 一般 |
購入者の感想
この著書は、欧米とりわけアメリカから指弾されている、いわゆる「日本異質論」に関して有効、有益な反論材料を提示している。具体的には、日本人の経済観念は「異質か否か」「世界の非常識か否か」という二つの「問いかけ」に対し、前者の答えは「戦後の50年にみられる日本人の経済観念の特徴は、日本の200年の伝統的な考え方からすれば、それほど異質ではない、その間の『常識』範囲内」であり、後者については「日本の200年の『常識』のなかには、先進諸国に共通するような、あるいは人間社会に共通するような普遍的な性格も見いだすことができる」(同書「はしがき」)ということを実証している。
著者は、99年7月13日付け「日本経済新聞」においても「伝統活かした経済再生を」(同紙「経済教室」)と題した論考を発表し、「グローバルスタンダード(世界標準)」という「アメリカナイゼーション」に異を唱え、「よき伝統を活用した自前のプラン」の必要性を明快に述べている。まさに「グローバリズムの時代とは、各国の多様性を前提とせざるをえない時代」であり、「いわゆる日本型と呼ばれる社会構造があり、それが多くの点で制度疲労をおこしているのはその通りであろう。それならば、その原点に戻って、日本型なるもののリストラクチュアリングをこそ目指すべきである」(佐伯啓思『現代日本のリベラリズム』)のだ。