沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート の感想

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漫画だ。
しかし、日本の漫画の亜流ではない。確固たる表現手段をもつ1977年生まれの作家による作品だ。
韓国の民主化運動を描いている。
しかし、ひとりの英雄を描くのではなく、ひとりずつの「変化」にこそ着目している。
30年前の史実をもとにしたフィクションのストーリーだ。
だが、そこにあるのは、「いま」の「日本」を含む「世界」の「路上」で起きていることを彷彿させる。欧米のオキュパイ、香港の雨傘、そして日本各地に拡散した反安保法制のムーブメント…。

よく言われることだが、「韓国は○年前の日本に似ていますね」と。
その悪気のない一言が、どれだけ、私たちの視野を狭めていることか。
ここから、なにを学ぶのか、それは韓国だからとか、日本だからといった狭いエリアのことではない。
民主主義とはなにか、21世紀の世界がみんな試行錯誤していることがらに対する、ひとつの指針だ。

そう、これは指針だ。
しかし、説教臭いそれではない。
ただただ、人間くさい、そんな人びとの群像劇だ。