INVASION の感想

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SABER TIGERの1stフルアルバム(’92年発表)。名盤と言いたい。
女性Vo.久保田陽子とツインギターをフィーチャーし、時折、変拍子を織り交ぜながら、プログレッシヴでテクニカルなハードロックをやっている。歌唱、演奏、曲、いずれも素晴らしい。

彼らの前後の歴史を鑑みると、明らかに異色。それゆえに貴重な作品と考える。
当時コンスタントにデモテープを発表していた彼らだが、直前のデモ「SABER TIGER 8」（’90年発表）が、後のVo下山時代に近い音楽性であるのに対し、本作のそれは明らかに異なる。
下山の歌唱も秀逸だが、性別・タイプの違う久保田の歌唱も素晴らしい。赤尾和重(TERRA ROSA)系のハスキーで太い声質を有し、安定感がある。

個人的に好きな曲は、4「Back To The Wall」以降。都会の夜の情景が想い浮かぶ、洗練された雰囲気の曲が続く。HM/HRのカテゴリーにだけ押し込んでおくには勿体無いような、優れた作品群だ。勝手な案ながら、「Back To The Wall」、「A Shot In The Dark」、「Under The Control」、「Misery」あたりは、渡辺美里や小柳ゆきがカバーしたら面白いのではと思う。

自主制作盤の初回盤(TFCD1402)には8cm CDが付いており、「ある去りがたき心に」と「SILLY」の2曲がリメイク収録されていた。ともに絶品である。
この2曲は、現行のVAP盤には収録されておらず、非常に残念。
将来、再発の機会があるならば、ぜひボーナス収録を期待したい。