戊辰戦争―敗者の明治維新 (中公新書 (455)) の感想

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参照データ

タイトル戊辰戦争―敗者の明治維新 (中公新書 (455))
発売日販売日未定
製作者佐々木 克
販売元中央公論新社
JANコード9784121004550
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

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購入者の感想

正直に言って、早乙女貢著『会津士魂』(正続)21巻を読んだ後にこの佐々木克著『戊辰戦争』を読んだため、『会津士魂』ほどの感動と詳細な知識習得の満足感は得られませんでした。しかし、『会津士魂』(正続)が完成する24年前に、敗者の側に立って、しかし感情に溺れることなく淡々と歴史家の目で、佐々木克氏が戊辰戦争を振り返っていたことに驚きました。
「むすび――戦争の遺産」に著者の戊辰戦争に対する歴史観が述べられていて、良かったです。平民宰相と後日言われた原敬の演説を紹介し、「東北戦争を、奥羽列藩同盟を討幕派の物差しでしか計ろうとしない歴史書」への批判をしています。また、「<後進地東北>の問題は、ただ東北地方の民衆の問題だけでなく<おくれた東北>を生みおとした薩長藩閥政府自らに課せられた、国家的課題ともなっていたのであった」と述べています。

個別の事項では下記のことが印象に残りました。
①九条総督の仙台脱出、秋田藩での政府軍合流の話は、今回初めて、その内容を私が理解したように思います。
②盛岡藩の戦争突入が、どうも岩倉具視のささやきによって行われた可能性がある、ということも初めて知りました。
③水戸藩内部の抗争が戊辰戦争の時に長い間行われていたことに驚きました。
④『会津士魂』では俗物として描かれている勝海舟や榎本武揚が、そのような描き方を一切されていないのが印象的でした。早乙女貢氏の人物評価が厳しすぎるのか、佐々木克氏の記述が冷静すぎるのか、どうなのだろうと考えさせられました。
⑤著者が以前に抱いていた孝明天皇暗殺説を、その後の原口清氏の研究を踏まえて、説の撤回をしていました。
⑥「みやげ物屋が大声で客をよぶ喧騒に包まれ、山腹までエスカレーターさえ設備されて俗地となりはてている飯盛山の会津白虎隊の墓地とくらべて、この二本松少年隊を祭ったところは、なんと静かで清潔であったことか。」という著者の感想は胸に響きました。

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