アイデンティティと暴力: 運命は幻想である の感想

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タイトルアイデンティティと暴力: 運命は幻想である
発売日販売日未定
製作者アマルティア・セン
販売元勁草書房
JANコード9784326154166
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門

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著者であるセン氏が言いたいことは、人は単にひとつのアイデンティティを持っているわけではなく、同時にたくさんのアイデンティティを内包しているということ。そして、「人はその時々の局面でどのアイデンティティを選ぶか」という権利と自由を持っている。また、そう言う自由を認める社会でなくてはいけない、ということ。というのも、往往にして人は他者の目で選ばれた自分の中のアイデンティティを押し付けられるから。例えば、「テロ」をイスラム教と関連づけること。イスラム教徒は自分の中からイスラム教徒というアイデンティティだけを取り上げられて、キリスト教と対峙させられる。どちらの側からも。つまり、アメリカそしてイスラム原理主義者の両方から同じように自分のアイデンティティを利用されてしまう。世界の地域で起こっている紛争や残虐行為は、アイデンティティを単眼的に捉えることから起こる。これが世界を暴力に向かわせているとセン氏は言う。民族しかり、文明しかり。

ひとつのアイデンティティを掬いあげられて、他者から押し付けられた正義。「〜〜〜だから、こうあらねばならない」ということ。伝統なんかもそう。伝統だから、女は相撲の土俵に上がってはいけないとか・・・。その時、わたしは「日本人である」(日本の伝統を重視する)アイデンティティと「女権拡張論者」であるアイデンティティとのどちらを優先するのか。その優先順位を付ける自由はわたしにある。正義は人それぞれで違う・・・、相対的であらざるを得ないと言うことか。

セン氏はこの「世界が暴力へ向かう」ことを自分のアイデンティティの自由を確保することから解決の方向に向かわせようとしているが、同時にセン氏はわれわれが持ついろいろなアイデンティティを抹消することなく、グローバルなアイデンティティを持つこと、グローバルな正義を持つことは可能であると言っている。「人々が『共感』に基づく意志決定をする限り、そこに社会的アイデンティティの存在を認めざるをえない」と。つまり、絶対的な「正義」があると言うことか。

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