フクシマ6年後 消されゆく被害――歪められたチェルノブイリ・データ の感想

170 人が閲覧しました
アマゾンで購入する

参照データ

タイトルフクシマ6年後 消されゆく被害――歪められたチェルノブイリ・データ
発売日販売日未定
製作者日野行介
販売元人文書院
JANコード9784409241158
カテゴリ » ジャンル別 » 社会・政治 » マスメディア

購入者の感想

今まで知らなかったフクシマの被害に愕然としました。集会で参加者に紹介しました

 原発が爆発した後、福島では子供に甲状腺ガンが多発している。これは誰もが認めざるを得ないが、福島県や現政権は、チェルノブイリ・データを引用しながら、原発爆発との因果関係を否定する。言い分はこうである。

1 チェルノブイリで甲状腺ガンが増加したのは爆発の4~5年後である。従って、福島での現時点での甲状腺ガン増加は被曝のためとは考えにくい。
2 チェルノブイリでは5才以下の層にガンが多発している。が、福島ではそうなっていないので、ガンが被曝のためとは考えにくい。
3 被曝線量が、福島ではチェルノブイリより低い。従って、ガンが被曝のためとは考えにくい。

 本書は、この3つの主張の正当性に疑問を持った二人の著者が、あらためてチェルノブイリ・データを検討し直し、その正当性を検討した結果の報告である。二人の著者とは、原発爆発による被害者をtwitterで笑いものにしていた復興庁役人の正体が水野靖久参事官であることを暴き出した日野行介毎日新聞記者と、モスクワ大学大学院留学の経歴を持ち、ロシア語に堪能な尾松亮である。
 原発爆発という大惨事に際して、ほとんど唯一の前例としてチェルノブイリの被害状況を参考にする。それは当然であるが、問題はその資料の利用の仕方である。ロシア語の資料は英語で書かれたものほど流通度が高くはないし、英語で発表されたものに対するほど厳密にチェックはされない。尾松があらためて丹念に文献を検討し、上記3つの主張は誤りであること、鈴木愼一、山下俊一といった、福島県や国の意向に沿ってのみ発言する「学者」が、データの自分に都合のいい箇所をつまみ食いのように引用しながら、入念に練り上げた代物であることを、議論の余地なく証明している。詳しくは是非本書を読んでいただきたいが、例えば、1の主張について、甲状腺ガンは爆発2年後にはすでに増加している。4~5年後とは、その増加の割合が更に激しくなった時期であった。2・3では、「チェルノブイリでは」と一般化しているが、広大なチェルノブイリ被災地のどの地域を取り上げているのか言及しないところに巧妙な詐欺があった。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

フクシマ6年後 消されゆく被害――歪められたチェルノブイリ・データ を買う

アマゾンで購入する
人文書院から発売された日野行介のフクシマ6年後 消されゆく被害――歪められたチェルノブイリ・データ(JAN:9784409241158)の感想と評価
2018 - copyright© アマゾン通販の感想と評価 all rights reserved.