倉山満が読み解く 足利の時代─力と陰謀がすべての室町の人々 の感想
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参照データ
タイトル | 倉山満が読み解く 足利の時代─力と陰謀がすべての室町の人々 |
発売日 | 2017-06-15 |
製作者 | 倉山満 |
販売元 | 青林堂 |
JANコード | 9784792605926 |
カテゴリ | 歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般 |
購入者の感想
倉山先生の室町シリーズ第2弾です。今回も前作以上に傑作です。
前作が内容てんこ盛り過ぎて観応の擾乱にたどり着かなかったため、本書は観応の擾乱、足利尊氏晩年期からスタートします。
が、本書の主人公は3代将軍足利義満と言っていいでしょう。前作はキャラ渋滞の登場人物たちが織りなすハチャメチャ群像劇でしたが、今回は義満1人でそれをやってる印象です(笑)
正直、教科書レベルの知識しかなかったので、「南北朝合一や勘合貿易を行なった将軍」というイメージでしかなかったのですが、本書を読んで日本史上最悪の部類に入る権力者だったことを知り、背筋が寒くなる思いでした。
権力を盾に人妻を寝とるのは日常茶飯事。自分の妻と義満の密通を疑った天皇は発狂してDVするわ、自殺未遂するわ・・。その天皇のスキャンダルをわざと都中に流して、あざ笑う将軍義満・・。
これだけでも最低な義満ですが、本書のメインテーマは今谷明教授の「皇位簒奪説」です。「義満が本気で天皇になろうとした」というこの説を取り上げ、皇室が存亡の危機にされされたことを反対意見も交えて丁寧に解説しています。
倉山先生の知識量もさることながら、キチンと反対意見も読み込んだ上でその矛盾点を指摘し、論破していく姿が爽快です。
状況証拠的に義満が皇位を狙ったのは明らかだと思うのですが、今谷説の注目度に嫉妬したのか、アンチ天皇のスタンス的に許せないのか、義満を擁護する歴史学者って本当になんなのか、と気が滅入りました。
前作『倉山満が読み解く太平記の時代』と『日本一やさしい天皇の講座』も併せて読むとより一層知識が深まると思います。
前作が内容てんこ盛り過ぎて観応の擾乱にたどり着かなかったため、本書は観応の擾乱、足利尊氏晩年期からスタートします。
が、本書の主人公は3代将軍足利義満と言っていいでしょう。前作はキャラ渋滞の登場人物たちが織りなすハチャメチャ群像劇でしたが、今回は義満1人でそれをやってる印象です(笑)
正直、教科書レベルの知識しかなかったので、「南北朝合一や勘合貿易を行なった将軍」というイメージでしかなかったのですが、本書を読んで日本史上最悪の部類に入る権力者だったことを知り、背筋が寒くなる思いでした。
権力を盾に人妻を寝とるのは日常茶飯事。自分の妻と義満の密通を疑った天皇は発狂してDVするわ、自殺未遂するわ・・。その天皇のスキャンダルをわざと都中に流して、あざ笑う将軍義満・・。
これだけでも最低な義満ですが、本書のメインテーマは今谷明教授の「皇位簒奪説」です。「義満が本気で天皇になろうとした」というこの説を取り上げ、皇室が存亡の危機にされされたことを反対意見も交えて丁寧に解説しています。
倉山先生の知識量もさることながら、キチンと反対意見も読み込んだ上でその矛盾点を指摘し、論破していく姿が爽快です。
状況証拠的に義満が皇位を狙ったのは明らかだと思うのですが、今谷説の注目度に嫉妬したのか、アンチ天皇のスタンス的に許せないのか、義満を擁護する歴史学者って本当になんなのか、と気が滅入りました。
前作『倉山満が読み解く太平記の時代』と『日本一やさしい天皇の講座』も併せて読むとより一層知識が深まると思います。
“北〇の拳”し過ぎる!! 逞しすぎる室町の人々
前作『倉山満が読み解く 太平記の時代―最強の日本人論・逞しい室町の人々』の面々が、さらにパワーアップ!!
正直、室町時代と言えば、「足利尊氏、足利義満、金閣寺、以上おわり」という程度の知識しかなかったのですが、これだけ個性的なメンツが揃っていたとは、改めて驚きを禁じ得ません。
当時流布されていた、終末観的百王説とも相まって、まさに“北〇の拳”に出てきそうな個性的な人物たちが、ところ狭しと暴れまわります!!
■楽しすぎる主要人物
足利尊氏・・・謎のカリスマ性を持つ、引きこもりがちで、躁鬱気質の初代将軍。ケタ外れの強さを誇る。悲しくなると地蔵菩薩の絵を描きたくなる。「北〇の拳」でいえば、強さ以外は、まるで社会不適合者のケンシロウに近い気が。
足利直義・・・尊氏の弟。事実上の副将軍。昔は尊氏が「この世の栄華はすべて直義に与えたまえ」と願文を捧げるほどの仲の良い兄弟だったのに、尊氏のご落胤である直冬を養子にしてから、徐々に亀裂が入り、命を狙い狙われる関係に。
友人同士であったにもかかわらず、ユリアをめぐって関係が悪化したケンシロウとシンの間柄を彷彿とさせる。(ケンシロウとシンは兄弟ではありませんが)
佐々木道誉・・・本書の主人公。変幻自在に乱世を生き抜く、己の才覚のみでのし上がる婆娑羅大名の代名詞。実は当代一流の教養人にして文化人。道誉のイメージは、「食いたい時に食い、飲みたい時に飲む」「俺はあの雲のように 自由気ままに生きるのよ」という名セリフで有名な、“雲のジュウザ”で決まりでしょう。
自由奔放、無頼のようでいて、義に篤いところもイメージ重なります。(ジュウザはユリアのために全てを捧げましたが、道誉も尊氏以下、足利家のために一族全てを捧げます)
足利直冬・・・尊氏のご落胤。不憫に思った直義が養子にするも、そのことが尊氏・直義兄弟が不仲になる原因に。NHK大河「太平記」では強度のファザコンとして描かれたとか。その屈折ぶりから、「愛などいらぬ」と豪語しながら、その実、誰よりも愛に飢えていた、聖帝サウザーを想起させます。
前作『倉山満が読み解く 太平記の時代―最強の日本人論・逞しい室町の人々』の面々が、さらにパワーアップ!!
正直、室町時代と言えば、「足利尊氏、足利義満、金閣寺、以上おわり」という程度の知識しかなかったのですが、これだけ個性的なメンツが揃っていたとは、改めて驚きを禁じ得ません。
当時流布されていた、終末観的百王説とも相まって、まさに“北〇の拳”に出てきそうな個性的な人物たちが、ところ狭しと暴れまわります!!
■楽しすぎる主要人物
足利尊氏・・・謎のカリスマ性を持つ、引きこもりがちで、躁鬱気質の初代将軍。ケタ外れの強さを誇る。悲しくなると地蔵菩薩の絵を描きたくなる。「北〇の拳」でいえば、強さ以外は、まるで社会不適合者のケンシロウに近い気が。
足利直義・・・尊氏の弟。事実上の副将軍。昔は尊氏が「この世の栄華はすべて直義に与えたまえ」と願文を捧げるほどの仲の良い兄弟だったのに、尊氏のご落胤である直冬を養子にしてから、徐々に亀裂が入り、命を狙い狙われる関係に。
友人同士であったにもかかわらず、ユリアをめぐって関係が悪化したケンシロウとシンの間柄を彷彿とさせる。(ケンシロウとシンは兄弟ではありませんが)
佐々木道誉・・・本書の主人公。変幻自在に乱世を生き抜く、己の才覚のみでのし上がる婆娑羅大名の代名詞。実は当代一流の教養人にして文化人。道誉のイメージは、「食いたい時に食い、飲みたい時に飲む」「俺はあの雲のように 自由気ままに生きるのよ」という名セリフで有名な、“雲のジュウザ”で決まりでしょう。
自由奔放、無頼のようでいて、義に篤いところもイメージ重なります。(ジュウザはユリアのために全てを捧げましたが、道誉も尊氏以下、足利家のために一族全てを捧げます)
足利直冬・・・尊氏のご落胤。不憫に思った直義が養子にするも、そのことが尊氏・直義兄弟が不仲になる原因に。NHK大河「太平記」では強度のファザコンとして描かれたとか。その屈折ぶりから、「愛などいらぬ」と豪語しながら、その実、誰よりも愛に飢えていた、聖帝サウザーを想起させます。