社会にとって趣味とは何か 文化社会学の方法規準 (河出ブックス) の感想

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タイトル社会にとって趣味とは何か 文化社会学の方法規準 (河出ブックス)
発売日2017-05-19
販売元河出書房新社
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カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

この本の読みどころは、何と言っても北田先生自ら執筆されている2章と8章であろう。しかし、私の2章と8章への評価は、はっきり言って正反対である。2章の論じ方は丁寧で好感がもてる。ブルデュー・モデルがどの程度現代日本のサブカルチャー分析に適用可能かが、多角的に検討されている。論理の組み立てが自然であり、その流れで「アニメを論じるならブルデュー(卓越化)よりも東浩紀(データベース)」と言われると、素直に首肯できるものがあった。

ところが、問題の8章はいかがなものであろうか。物議をかもした「女子二次オタク≒腐女子」の「操作的定義」の問題に加え、データ解釈もこじつけに感じられるものが多々あった。すでに指摘されている通り、おそらく著者の内的作業仮説として、「腐女子はジェンダー規範に異議を申し立てる存在」というものがあるためだ。著者の結論にとって都合のよいデータを取捨選択し、先行研究を自説の補強のための権威づけとして利用している(そうでなければ、このような強引な操作的定義は必要ないはずだからだ)、という批判は甘受せねばならないだろう。

私は、8章に関しては、批判するために読むべき論文と考えている。このテキストを読み、ここが変だとか、もっとこうした方がいいとか、各自が意見を述べる素材として利用し尽くすのが、もっとも賢い利用法ではないだろうか。これは単なる北田先生個人への批判ということではなく、社会学界全体を覆っている「いい加減」体質にメスを入れて行く重要な作業である。

なお、「解体研」とされる他の章の著者による論考は、こぎれいにまとまっており、特に批判するほどの関心を喚起しなかった。

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