ハリネズミと狐――『戦争と平和』の歴史哲学 (岩波文庫) の感想

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タイトルハリネズミと狐――『戦争と平和』の歴史哲学 (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者バーリン
販売元岩波書店
JANコード9784003368411
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

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バーリンが冒頭で述べるハリネズミと狐が象徴するものを、訳者は次のように解説しています。
ハリネズミが象徴するのは、「人間の求める多様な価値は何らかの最高価値のもと調和した一つの体系を成していると信じる」一元主義であり、狐は、「人はただ一つの価値によって生きるものではなく、少くともいくつかの基本的な価値はそれぞれに独立しており、他の価値にたいして上下の関係や目的−手段の関係に封じ込められるものではない」とする多元主義を象徴しています。
そしてバーリンは、政治思想史においては、特に「18世紀の啓蒙主義思想が一元主義を代表しているがために、近代の思想史はハリネズミにたいする狐の反逆の歴史であった」と総括します
本書は、ナポレオンの死(1821)とロシア革命(1917)の間に、ロシアの支配層の一人として人生を送ったトルストイ(1828-1910)が、本質は狐でありながらハリネズミになろうとした存在だったことを「戦争と平和」の分析によって明らかにすることを目的としています。
そのため「戦争と平和」を読んでなくて、トルストイ自体にも興味がない人には無縁の本でしょう。幸い私は読んでいたので、色々な疑問が解けました。
「戦争と平和」は読んでいないが、バーリンの自由主義思想を知りたい人は「ある思想史家の回想」(みすず書房)がお勧めです。同書には「ハリネズミと狐」の他、有名な「消極的自由と積極的自由」のバーリンによる簡単な説明もあります。
同書も河合秀和氏の明晰な翻訳ですが、インタビューなので一層分かりやすく、バーリンの入門書としては最適だと思います。

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