看護診断にもとづく精神看護ケアプラン の感想

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第一版から、さらに項目を細分化したようです。看護、とありますが、
どの職種の人にも必ず役に立つと断言、したいと思います。
精神看護、とありますが、統合失調症や気分障害のようなものから、
危険行動や依存まで網羅され、病名のみに囚われない内容になっています。
医療関係者にとってケアから接遇まで非常に応用範囲の広い良書だと思います。
私事ですが、まだ仕事に就いて間もない駆け出しの頃、様々な患者さんとの
コミュニケーションに夜も眠れないほど悩んでいた時、母に薦められたのが
この本の第一版でした。大げさではなく「悩み」そのものが大切な理解のステップだった、と
心から思えた記憶が鮮明に残っています。

本文は、コンプライアンス・無効なコーピングという、（ナースはどうか知りませんが）
日常、職場でも余り聞かれない単語がちらほらありますが、仮にこれらの単語に
ついて予備知識が無くとも、十分に理解できるものだと思います。
医療関係者にとって、患者さんとのコミュニケーションや反応についての理解は必須ですが
その為にひとつ間違うと非常に厄介な問題に発展します。
医療従事者も人間であり、感情があります。コミュニケーションに悩みボロボロになる方も
多い筈で、私生活での対人スキルなどを易々と応用できるものでもありません。危険でもあります。
徒手空拳で挑んでは本人も疲弊し、患者の状態を悪化させることにもつながりかねません。
この本の有益性はこれらのことにとどまりませんが、私たちの思考、行動に一貫性を与えてくれ、
更には私たちの心の健康を保つことにも役立つと思います。

この本の特長は具体例と理論的根拠が平明な文で、明解に説明されているところです。
単なるマニュアルではなく、また、小難しい微妙な対応を求めるような無駄に難解なものでもありません。
単純な事実の積み重ねから導かれたような普遍性があり、一読でその一貫性が伝わるように書かれています。
（私の専門からやや畑ちがいですが）精神医学に興味を持っていた私にとって、これほどの良書は中々ありません。