脱・思い込みめまい診療 めまいは内耳とは限らない の感想

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めまいを末梢性疾患としてあつかわれることに対する警鐘のつもりで書かれた本。

示された症例は
めまい発症後6年で脳出血で死亡、めまい発症後2年にして脳梗塞を起こした、めまい発症後9年して脳血管障害性パーキンソニズムを起こした、めまい発症後3ヵ月して．意識障害で救急車で運ばれてきた
などなど。当初のめまいと中枢性疾患との因果関係は、むしろ「ない」というべき症例。

著者は中枢性めまいの見落としを防ぐべく真剣な筆致なのだが、なんでもかんでも中枢性めまい、椎骨脳底動脈循環不全にしてしまう態度は逆効果であった。

椎骨脳底動脈循環不全というのはまぼろしの疾患である。なぜならめまいのあと本当に脳梗塞になる患者はきわめてまれだからである。
著者も椎骨脳底動脈循環不全・中枢性めまいと診断をつけておきながら、脳梗塞予防としての抗血小板投与まではおこなっておらず、メリスロン・セファドールでお茶を濁している。語るに落ちたということだ。