戦艦大和講義: 私たちにとって太平洋戦争とは何か の感想

133 人が閲覧しました
アマゾンで購入する

参照データ

タイトル戦艦大和講義: 私たちにとって太平洋戦争とは何か
発売日販売日未定
製作者一ノ瀬 俊也
販売元人文書院
JANコード9784409520611
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 軍事 » 軍事入門

※サンプル画像


購入者の感想

本書は、日本近現代史とりわけ日本軍・日本兵の戦いのあり方について好著の多い著者の最新作。
題名の通り、埼玉大学での講義を加筆・再編しており、従来の著書より分かり易いレベル感となっている。
全15回の講義は、戦前・戦中、戦後(昭和)、戦後(平成)という三部で構成されており、大和の誕生から沈没(死)、再生(再評価)、転生(新たな価値観)といった形になっていると私は受け止めている。

さすがだと思うのは、大和という一隻の軍艦を通じ、著者が見事なまでに日本人の意識を描き出している点。著者自身が、本書で参考にした先達があるとはしているが、これだけ体系的にそれも過去から現代までを描き切った作品は類例がないと思う。逆に、たとえば、戦時中とか宇宙戦艦ヤマトとか断面を捉えた先達作品と合わせて読むとさらに認識が深まるだろう。

それともう一つ評価したいのは、これまでの著作では史料分析・解説という客観的要素の強かった著述が、本書では実に大胆に独自の解釈や認識を多様な事象について述べている点。実に生き生きとしており、刺激を多く受けた。一方で、とりわけ黒船来航から終戦までの約100年を大和に至る流れで100頁で描いた内容は、これを受講した埼玉大学の方が羨ましいほどにユニークにして的を射たものであった点は、特に若い読者の方にはしっかり読んでもらいたいところだと思う。(特に繰り返し述べられる、大和とともに死んだ将兵が、一億総特攻に続かず生き永らえた日本人達(含むその子孫である私達)に怒りを抱いているということ。大和にクローズする話ではなく、英霊と言われる彼らの行く先とそこを巡る現在の議論に照準を合わせている点は、決して見過ごしてはいけないだろう。「今からでも沖縄の米軍基地に特攻せよ!」この問いかけへの答えなしに、辺野古も我が軍もないだろう。日本軍と日本兵にキチンと向かい合って来た著者ならではの至言と受け止めたい)

思えば、B29やタイガー戦車をいまだに米国人やドイツ人がコモンセンスとしていたり創作物の題材としているなどありえないわけで、大和への日本人の思い入れ・受け入れ方は、やはり尋常ではない。この尋常でないという再認識とそれに係る何故を腹に落とす作業は、いまの日本人の誰もが経ておくべきものだと思った。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

戦艦大和講義: 私たちにとって太平洋戦争とは何か を買う

アマゾンで購入する
人文書院から発売された一ノ瀬 俊也の戦艦大和講義: 私たちにとって太平洋戦争とは何か(JAN:9784409520611)の感想と評価
2018 - copyright© アマゾン通販の感想と評価 all rights reserved.