吉松隆の 図解クラシック音楽大事典 の感想

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参照データ

タイトル吉松隆の 図解クラシック音楽大事典
発売日販売日未定
製作者吉松 隆
販売元学研プラス 児童・幼児事業部 音楽事業室
JANコード9784058005514
カテゴリエンターテイメント » 音楽 » 音楽理論・音楽論 » 音楽学・音楽教育学

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購入者の感想

この2015年度版の『吉松隆の図解クラシック音楽大事典』は過去に出版された同書の表紙を一新した改訂版で、2005年の『クラシック名曲ガイド』の一部内容や2010年の『ムジカノーヴァ』に吉松さんが寄稿したテキストの調性の項目が追加となっています。何と言っても、現役の日本を代表するクラシック音楽家が素人にも解る基本的なクラシック入門用のガイドブックを作ったということだけでも前代未聞の快挙なのに、加えて表紙画の五線譜にも並ぶ可愛らしく憎めない素人的な少女漫画風のイラストまで吉松さんの自ら描いたものだという驚きの話題性があります。その絵のタッチは1970~80年代のミニコミ誌にみられた脱力感ある二頭身のキャラクターを惜しみなく本書中で全面的に展開していますので、今の時代には非常に珍しいレトロさ漂う親しみやすい書物となっています。当たり前のことではありますが、本物の音楽家の描くイラストは何気ない演奏シーンでも音楽が鳴っているような臨場感に溢れていて、クラシック自体が内在的に抱える取っ付きにくさや高尚さを撤廃したアクセントの効いた挿絵として機能しています。
まず退屈さとは無縁に一気に読み進めることができます。やはり純粋なクラシック畑の人間ではない方だからこそのユーモアや面白味が生まれていて「音楽評論家」というコラムもその実態をよくとらえていますが、ヴァイオリンの紹介にお茶目に羊と馬のイラストが出てきたり、金管楽器の紹介等もウィットに富んだ擬人性で飽きさせません。吉松さんの語る指揮者の裏事情もしっかり書かれていますし、この稼業も決して楽ではないというありのままの実態も盛り込まれていますので、知れば当初からこの世界に変な幻想を持たずに必要以上に幻滅することもないはずです。第2楽章のコンサートの勧めは、一度は誰しも起こりうる「睡魔との闘い」や「拍手」、各種「迷惑オバケたち」にも触れられており、この読後に行くコンサートは新たな愉しみを呼び込むことは間違いありません。第3~4楽章は楽典や作曲についてですので一般向けにはなっていませんが関係者には目から鱗のイラスト入りの解説が続きます。
このようなクラシック初心者向けの本ですが、これほど敷居の低い愉快な本は例になく本当に素晴らしい復刊ですので幅広く読み継がれていって欲しいと思います。

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