新訳 茶の本 ビギナーズ 日本の思想 (角川ソフィア文庫) の感想

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参照データ

タイトル新訳 茶の本 ビギナーズ 日本の思想 (角川ソフィア文庫)
発売日2014-01-23
製作者岡倉 天心
販売元KADOKAWA / 角川学芸出版
JANコード登録されていません
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 思想・社会 » 思想

購入者の感想

いくつもある翻訳の中で、かなり美意識の高い素晴らしい訳でした

岡倉天心は、茶を “tea ceremony” ではなく “teaism”、すなわち「東洋文明が到達した最高の哲学、世界観」として紹介しており、その発展を老荘思想、道教、禅をルーツとする長い思想史に乗せて説明している。茶道をこのように哲学として捉えた上で展開される「茶室」「芸術鑑賞」「花」の各章では、和の美に揺れる私達の心の微細な動きを、「なるほど、このように説明されるのか」と感嘆する程までに見事に描いている。じっくり読んで良かったと素直に思える、日本の美を再発見させてくれる名著であった。

岡倉天心が「翻訳というものは常に裏切りでしかない」と記す作品を翻訳で読んでいるというのは皮肉だが、それにしても大久保喬樹氏(東京女子大学日本文学科教授)の訳が素晴らしい。我々日本人が美しいお寺の庭園を訪れては感ずる、しかし上手く言葉に表せない美を見事に表現しきっており、日本語訳であることを忘れるどころか、ただただその美しい文章に心を洗われる。

本書は、『茶の本』の日本語訳本編(約150頁)、『茶の本』よりも以前に発行された『東洋の理想』の序文と終章の抜粋訳(約25頁)、そして岡倉天心の簡単な伝記(約90頁)の三部構成となっている。岡倉天心について予備的な知識を持ち合わせていなかった私はこれを後ろから読むことで、岡倉天心の生い立ちとその思想の発展を大まかに理解したうえで、『茶の本』本編を読むことができた。訳が素晴らしいことは上記のとおりだが、この伝記や本編各章末の「解説ノート」の内容も秀逸であり、理解が大いに深まった。原文は岡倉天心のものなれど、本書における大久保氏の貢献は特筆すべきものがある。

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