歴史通 2014年 07月号 [雑誌] の感想
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参照データ
タイトル | 歴史通 2014年 07月号 [雑誌] |
発売日 | 2014-06-09 |
販売元 | ワック |
JANコード | 4910196230746 |
カテゴリ | ジャンル別 » 雑誌 » 文芸・総合 » 総合 |
購入者の感想
「プーチンの一撃!」 中西輝政
ウクライナ情勢の危機は、「EU」「NATO」解体の危機でもある。そのことが「日米同盟」の揺らぎとなって東アジア情勢にどれほど深い危機をもたらすのか? 「クリミア危機」が引き起こした「1989年から始まる冷戦後の世界の終わり」を、どの程度、我々は理解しているのだろうか?もう世界は、東西の緊張緩和という時代には返らないのである。
このことの意味を問う中西の本論考は、「WILL 7月号」の「クリミア後の世界新秩序と日本」と併せて、広く読まれ、考えられるべきものである。
まず「クリミア危機」の本質とは、何か?
地政学的に、帝政ロシア以来、クリミア半島はきわめて重要な位置を占めていた。世界帝国を目指すロシア帝国にとって、「不凍港」は死活的な意味を持ち、セバストポール要塞から黒海、ボスポラス海峡を経て、地中海に至る海上ルートは、同時に中央ヨーロッパとバルカンを視野に入れた「パンスラブ主義」の出発港であったからである。
「クリミア戦争」(1853〜56)「露土戦争」(1878) 「サラエボの銃声」(1914)と続く戦争の記憶は、ロシア人にとっては忘れがたい。「クリミア」と聞く度に、ロシア人にはこみ上げてくる記憶があるに違いない。
しかし、であるとしても、今回のロシアの「クリミア併合」は絶対に許されることではない。中西は、日本の「満州国建国」と比較して、日本はまだ独立国「満洲帝国」の支援者の地位に甘んじたが、ロシアは、「併合」した。これは、力づくで領土の拡大を図る帝国主義時代のやり方であり、これを認めてしまえば、「力の論理」のみが世界を支配するようになるだろう。それだけは防がなければならない、とする。
中西は、今回の「クリミア危機」の背景には、「ソビエト崩壊」時にロシアが受けた癒しがたい屈辱と怨念が、「プーチンの一撃」となって奔出し、この勢いは、「バルト三国」特に海軍基地がある「カリーニングラード」の再占領まで止まらないと見る。
ウクライナ情勢の危機は、「EU」「NATO」解体の危機でもある。そのことが「日米同盟」の揺らぎとなって東アジア情勢にどれほど深い危機をもたらすのか? 「クリミア危機」が引き起こした「1989年から始まる冷戦後の世界の終わり」を、どの程度、我々は理解しているのだろうか?もう世界は、東西の緊張緩和という時代には返らないのである。
このことの意味を問う中西の本論考は、「WILL 7月号」の「クリミア後の世界新秩序と日本」と併せて、広く読まれ、考えられるべきものである。
まず「クリミア危機」の本質とは、何か?
地政学的に、帝政ロシア以来、クリミア半島はきわめて重要な位置を占めていた。世界帝国を目指すロシア帝国にとって、「不凍港」は死活的な意味を持ち、セバストポール要塞から黒海、ボスポラス海峡を経て、地中海に至る海上ルートは、同時に中央ヨーロッパとバルカンを視野に入れた「パンスラブ主義」の出発港であったからである。
「クリミア戦争」(1853〜56)「露土戦争」(1878) 「サラエボの銃声」(1914)と続く戦争の記憶は、ロシア人にとっては忘れがたい。「クリミア」と聞く度に、ロシア人にはこみ上げてくる記憶があるに違いない。
しかし、であるとしても、今回のロシアの「クリミア併合」は絶対に許されることではない。中西は、日本の「満州国建国」と比較して、日本はまだ独立国「満洲帝国」の支援者の地位に甘んじたが、ロシアは、「併合」した。これは、力づくで領土の拡大を図る帝国主義時代のやり方であり、これを認めてしまえば、「力の論理」のみが世界を支配するようになるだろう。それだけは防がなければならない、とする。
中西は、今回の「クリミア危機」の背景には、「ソビエト崩壊」時にロシアが受けた癒しがたい屈辱と怨念が、「プーチンの一撃」となって奔出し、この勢いは、「バルト三国」特に海軍基地がある「カリーニングラード」の再占領まで止まらないと見る。